The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 26, 2001 Vol. 344 No. 17

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ヘパリン誘発性血小板減少症の時間的特徴
Temporal Aspects of Heparin-Induced Thrombocytopenia

T.E. WARKENTIN AND J.G. KELTON

背景

ヘパリン誘発性血小板減少症は,比較的よくみられる抗体媒介薬物反応の一つである.われわれは,過去に受けた,あるいは現在受けているヘパリン療法とヘパリン誘発性血小板減少症の発現との時間的関係について検討した.

方 法

血清学的に確認されたヘパリン誘発性血小板減少症の患者 243 例において,ヘパリン療法の開始から血小板減少症の発現までの時間について検討した.また,血中ヘパリン依存性抗体の存続性についても,血小板セロトニン放出アッセイおよび血小板第 4 因子に対する抗体の測定を実施して検討した.さらに,ヘパリン誘発性血小板減少症のエピソードの発現歴があり,その後再びヘパリンの治療を受けた 7 例の患者の転帰についても調査した.

結 果

血小板数の減少は,243 例の患者のうち 170 例(70%)では,ヘパリン療法を開始後 4 日以上経過してから認められた;これらの患者では,ヘパリンの前治療歴は血小板減少症の発現時期に影響しなかった.残りの 73 例(30%)の患者では,血小板減少症は急速に発現した(発現までの時間の中央値,ヘパリンの投与開始後 10.5 時間);これらの患者は,すべてが過去 100 日以内にヘパリンの治療を受けていた.血清中のヘパリン依存性抗体は,血小板減少症の回復期に検出限界以下の濃度にまで低下したが,その中央値は,分析法により 50~85 日であった.ヘパリン依存性抗体が消失したあとに再びヘパリンの投与を受けた 7 例の患者には,ヘパリン誘発性血小板減少症の新たなエピソードの発現は認められなかった.

結 論

過去 100 日以内にヘパリンの投与を受けた患者では,ヘパリン誘発性血小板減少症が急速に発現することがある.また,ヘパリン依存性抗体は,その後のヘパリンの使用で必ずしも再出現するとは限らない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1286 - 92. )