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May 3, 2001 Vol. 344 No. 18

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慢性心不全の患者における人種とカルベジロールによるアドレナリン作用遮断に対する反応
Race and the Response to Adrenergic Blockage with Carvedilol in Patients with Chronic Heart Failure

C.W. YANCY AND OTHERS

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤とβ遮断薬の有益性は,黒人患者では,それ以外の人種の患者よりも小さい可能性がある.しかし,慢性心不全の患者のカルベジロールに対する反応に,このような人種の影響があるのかどうかはわかっていない.

方 法

「米国カルベジロール心不全試験プログラム(U.S. Carvedilol Heart Failure Trials Program)」において,217 例の黒人患者と 877 例の非黒人患者(ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類が II 度,III 度,または IV 度,かつ左室駆出率が 0.35 未満)が,プラセボまたはカルベジロール(1 回 6.25~50 mg を 1 日 2 回,連日投与)の最長で 15 ヵ月間の投与に無作為に割付けられた.駆出率,臨床状態,および重大な臨床イベントに対するカルベジロールの効果を,黒人患者と非黒人患者間でレトロスペクティブに比較した.

結 果

カルベジロールは,プラセボと比較して,あらゆる原因による死亡またはあらゆる原因による入院のリスクを,黒人患者では 48%,非黒人患者では 30%低下させた.また,カルベジロールは,心不全の悪化(死亡や入院にいたった,あるいは薬剤を増量し続けなければならなくなった心不全)のリスクを,黒人患者では 54%,非黒人患者では 51%低下させた.この二つの転帰変数に関しては,非黒人患者のカルベジロール投与による相対危険度に対する黒人患者のカルベジロール投与による相対危険度の比は,それぞれ 0.74(95%信頼区間,0.42~1.34),0.94(95%信頼区間,0.43~2.05)であった.さらに,カルベジロールは,黒人と非黒人のどちらの患者においても,心機能分類,駆出率,および患者と医師による総合評価を改善させた.これらすべての転帰および臨床状態の評価尺度において,カルベジロールはそれぞれの人種コホート内でプラセボよりも優れ(すべての解析において p<0.05),人種と治療との有意な相互作用は認めらなかった(すべての解析において p>0.05).

結 論

カルベジロールは,心不全の黒人患者と非黒人患者のどちらにおいても明らかに有益であり,その程度も両者で同程度であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1358 - 65. )