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May 10, 2001 Vol. 344 No. 19

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心房細動の患者における除細動の誘導を目的とした経食道心超音波検査の利用
Use of Transesophageal Echocardiography to Guide Cardioversion in Patients with Atrial Fibrillation

A.L. KLEIN AND OTHERS

背景

電気的除細動を受けることになっている心房細動の患者に対する従来の治療戦略は,除細動を実施する前に,抗凝固療法としてワルファリンを 3 週間処方することである.しかし,経食道心超音波検査で心房血栓が認められない場合には,短期間の抗凝固療法後でも,除細動を安全に実施できるかもしれないと提案されている.

方 法

多施設共同の無作為プロスペクティブ臨床試験には,心房細動が 2 日間より長く続いた患者 1,222 例を組み入れ,経食道心超音波検査の結果に基づいた治療または従来の治療のいずれかに割付けた.複合主要エンドポイントは,治療開始後 8 週以内における脳血管発作,一過性脳虚血発作,および末梢動脈塞栓症であった.副次的エンドポイントには,機能状態,洞リズムの回復成功と維持,出血,および死亡とした.

結 果

血栓性イベントの発生率について,二つの治療群間には有意差は認められなかった(経食道心超音波検査群では 619 例の患者に 5 件 [0.8%] の血栓性イベント対 従来治療群では 603 例の患者に 3 件 [0.5%],p = 0.50).これに対して,出血性イベントの発生率は,経食道心超音波検査群で有意に低かった(18 件 [2.9%] 対 33 件 [5.5%],p = 0.03).さらに,経食道心超音波検査群の患者では,除細動までの時間が短く(平均 [±SD],3.0±5.6 日間 対 30.6±10.6 日間;p<0.001),洞リズムの回復成功率も高かった(440 例 [71.1%] 対 393 例 [65.2%],p = 0.03).治療開始後 8 週目の時点における死亡率,洞リズムの維持率,あるいは機能状態には,2 群間に有意な差は認められなかった.

結 論

電気的除細動が予定されている患者に対しては,心房細動の管理のガイドとして経食道心超音波検査を利用することは,従来の治療法に替りうる臨床的に有効な戦略と考えることができるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1411 - 20. )