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May 10, 2001 Vol. 344 No. 19

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骨粗鬆症の閉経後女性における骨折と骨密度に対する副甲状腺ホルモン(1-34)の効果
Effect of Parathyroid Hormone (1-34) on Fractures and Bone Mineral Density in Postmenopausal Women with Osteoporosis

R.M. NEER AND OTHERS

背景

副甲状腺ホルモンやそのアミノ末端断片の 1 日 1 回連日投与は,高カルシウム血症を引き起すことなく,骨形成の促進と骨量の増加をもたらすが,骨折に対する効果は不明である.

方 法

脊椎骨折の病歴を有する 1,637 例の閉経後の女性を,副甲状腺ホルモン(1-34)の 20 μg または 40 μg,あるいはプラセボの 1 日 1 回連日皮下自己注射に無作為に割付けた.そして,脊椎の X 線写真を試験開始時と終了時に撮影し(観察期間の中央値,21 ヵ月間),二重エネルギー X 線吸収法による骨量の測定を経時的に実施した.

結 果

脊椎骨折が新たに発生した女性は,プラセボ群では 14%,副甲状腺ホルモンの 20 μg 群および 40 μg 群ではそれぞれ 5%および 4%であった;プラセボ群と比較したときの副甲状腺ホルモンの 20 μg 群と 40 μg 群の骨折の相対危険度は,それぞれ 0.35 および 0.31 であった(95%信頼区間,0.22~0.55 および 0.19~0.50).脊椎以外の脆弱性骨折が新たに発生した女性は,プラセボ群では 6%,副甲状腺ホルモン群では各群とも 3%であった(相対危険度,それぞれ 0.47 および 0.46 [95%信頼区間,0.25~0.88 および 0.25~0.86]).骨密度については,副甲状腺ホルモンの 20 μg 用量と 40 μg 用量では,プラセボと比較して,腰椎ではそれぞれ 9%ポイント以上および 13%ポイント以上の増加が認められ,大腿骨頸部でもそれぞれ 3%ポイント以上および 6%ポイント以上の増加が認められた;橈骨幹の骨密度は,40 μg 用量で 2%ポイント以上の減少が認められた.全身骨塩量については,副甲状腺ホルモンのどちらの用量にも,プラセボよりも 2~4%ポイント以上の増加が認められた.副甲状腺ホルモンの副作用は,軽度のもののみであった(時折発現する悪心と頭痛).

結 論

閉経後骨粗鬆症に対する副甲状腺ホルモン(1-34)の治療は,脊椎および脊椎以外の骨折のリスクを減少させるとともに,脊椎,大腿骨,および全身骨密度を増加させ,忍容性にも優れている.さらに,40 μg 用量では,骨密度の増加は 20 μg 用量より大きかったものの,骨折のリスクに対する効果は 20 μg 用量と同程度で,副作用はより多い傾向があった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1434 - 41. )