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January 18, 2001 Vol. 344 No. 3

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抗レトロウイルス療法が奏効している HIV 感染症患者における Pneumocystis carinii 肺炎に対する二次予防の中止
Discontinuation of Secondary Prophylaxis against Pneumocystis carinii Pneumonia After a Response to Antiretroviral Therapy

B. LEDERGERBER AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症で,Pneumocystis carinii 肺炎の病歴を有する患者は,二次予防療法を受けないと再発する危険性が高い.しかしながら,高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が奏効している患者に,P. carinii 肺炎に対する二次予防を中止しても安全なのかどうかはわかっていない.

方 法

八つのヨーロッパ人の前向きコホートから組み入れた 325 例の HIV 感染患者(男性 275 例,女性 50 例)を対象として,P. carinii 肺炎の再発エピソードについての解析を行った.これらの患者では,1996 年 10 月~2000 年 1 月までに,3 剤以上の抗 HIV 薬による治療中に一度でも末梢血中の CD4 細胞数が 200/mm3 以上に達したら,同時に実施していた P. carinii 肺炎に対する二次予防療法が中止された.

結 果

二次予防療法が中止された時点の CD4 細胞数の中央値は 350/mm3 であった;それまでの CD4 細胞数の最低値の中央値は 50/mm3 であった.二次予防を中止した後に CD4 細胞数が 200/mm3 以上に維持されていた期間の中央値は,11 ヵ月間であった.二次予防を中止してからの追跡調査期間の中央値は 13 ヵ月間であったので,追跡調査期間全体の人年は 374 人年となった.これらの追跡調査期間のうちの 355 人年までは,CD4 細胞数が 200/mm3 以上に維持されたままであった.この期間中に再発性の P. carinii 肺炎と診断された患者は 1 例もいなかった;したがって,P. carinii 肺炎の再発率は 100 患者年あたり 0 であった(99%信頼区間,追跡調査期間の全体では 100 患者年あたり 0~1.2,CD4 細胞数が 200/mm3 以上に維持されていた追跡調査期間では 100 患者年あたり 0~1.3).

結 論

高活性抗レトロウイルス療法に免疫学的効果が得られている HIV 感染症の患者では,P. carinii 肺炎に対する二次予防を中止しても安全である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 168 - 74. )