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June 28, 2001 Vol. 344 No. 26

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急性冠動脈イベントの一次予防におけるスタチン療法の目標としての C 反応性蛋白の測定
Measurement of C-Reactive Protein for the Targeting of Statin Therapy in the Primary Prevention of Acute Coronary Events

P.M. RIDKER AND OTHERS

背景

C 反応性蛋白値の上昇は,高脂血症が存在していない場合でさえも,冠動脈イベントのリスクの上昇に結び付く.また,スタチン療法は,その脂質濃度に対する効果とは独立して,C 反応性蛋白値を低下させる.われわれは,明らかな高脂血症を有しない C 反応性蛋白高値の人々において,スタチンは冠動脈イベントを予防するかもしれないという仮説を立てた.

方 法

急性冠動脈イベントの一次予防を目的としたロバスタチン(lovastatin)の 5 年間の無作為試験の参加者 5,742 例を対象として,C 反応性蛋白値を,試験開始時と 1 年後に測定した.

結 果

冠動脈イベントの発生率は,試験開始時の C 反応性蛋白値が高くなるにつれて有意に上昇した.C 反応性蛋白値は,ロバスタチン療法によって 14.8%低下したが(p<0.001),これは,ロバスタチンによってもたらされる脂質プロファイルの変化では説明できない効果であった.期待されたように,ロバスタチンは,試験開始時の総コレステロール/高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール比が中央値よりも大きかった参加者において,C 反応性蛋白値にはかかわりなく,冠動脈イベントを予防するのに有効であった(1 件のイベントが発生するのを予防するために 5 年間治療する必要のある患者数,47 人;p = 0.005).しかし,総コレステロール/HDL コレステロール比が中央値よりも小さく,かつ C 反応性蛋白値が中央値よりも高かった参加者でも,ロバスタチンは有効であった(治療する必要のある患者数,43 人;p = 0.02).これらの結果とは対照的に,総コレステロール/HDL コレステロール比と C 反応性蛋白値の両方がそれぞれの中央値よりも低値であった参加者には,ロバスタチンの効果は認められなかった(治療する必要のある患者数,983 人;p = 0.87).

結 論

冠動脈イベントの一次予防において,スタチン療法は,脂質濃度が比較的低く,C 反応性蛋白値が高い人々に有効なのかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1959 - 65. )