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February 8, 2001 Vol. 344 No. 6

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腎動脈狭窄症の治療の転帰を予測するための超音波ドップラー法の利用
Use of Doppler Ultrasonography to Predict the Outcome of Therapy for Renal-Artery Stenosis

J. RADERMACHER AND OTHERS

背景

腎動脈狭窄を矯正により腎機能や血圧の改善が見込まれる患者を,事前に同定するのは不可能であった.われわれは,治療に適する患者を事前に選別するために,両側腎区動脈の血流に対する抵抗が高度(抵抗指数の値が 80 以上によって示される)であることが利用できるかどうかについて評価した.

方 法

腎動脈狭窄による高血圧症の患者 5,950 例をカラー超音波ドップラー法を用いて評価し,腎区動脈の抵抗指数を次式から求めた:[1-(拡張末期血流速度÷最高収縮期血流速度)]×100.片側あるいは両側の腎動脈の内腔径が>50%狭窄し,腎動脈形成術あるいは手術を受けた 138 例の患者のうち,その治療手技が技術的に成功したのは 131 例(95%)であった.クレアチニンクリアランスと非拘束 24 時間血圧を,腎動脈狭窄を矯正する前;矯正手技の実施後3 ヵ月目,6 ヵ月目,および 12 ヵ月目; その後は 1 年ごとに測定した.追跡調査の平均(±SD)期間は 32±21 ヵ月間であった.

結 果

血行再建前の抵抗指数が 80 以上の値であった 35 例(27%)の患者では,血行再建後の平均動脈圧は,34 例(97%)で 10 mmHg 未満しか下降しなかった.腎機能は,28 例(80%)において機能低下が認められた(腎機能の低下はクレアチニンクリアランスの 10%以上の低下によって定義した);透析に依存しなければならなくなった患者は 16 例(46%)であった; 追跡調査期間中に死亡した患者は 10 例(29%)であった.これに対して,血行再建前の抵抗指数が 80 未満の値であった 96 例(73%)の患者では,血行再建後の平均動脈圧は,6 例(6%)を除いたすべての患者において 10%以上下降した;腎機能は,3 例(3%)で悪化しただけであったが,3 例とも透析が必要となった;死亡した患者は 3 例(3%)であった(抵抗指数が 80 以上の値であった患者との比較で p<0.001).

結 論

腎動脈狭窄症の患者では,その腎動脈の抵抗指数が 80 以上の値である場合に,高い信頼性をもって,血管形成術や手術によって腎機能や血圧の改善あるいは腎臓の生存が期待できない患者として識別することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 410 - 7. )