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February 22, 2001 Vol. 344 No. 8

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急性脳損傷後の低体温への導入の有効性の欠如
Lack of Effect of Induction of Hypothermia after Acute Brain Injury

G.L. CLIFTON AND OTHERS

背景

小規模臨床試験において,脳損傷の患者を低体温に導入することによって転帰が改善することが示されているが,その結果は確証されたものではない.この問題を検討するために,急性脳損傷の患者を対象として,低体温の効果と正常体温の効果を比較する多施設共同試験を実施した.

方 法

この試験の被験者は,閉鎖性脳損傷を受けた後に昏睡に陥った 16~65 歳の 392 例の患者で,低体温(体温 33℃)または正常体温の治療に無作為に割付けられた.なお低体温治療は,体表冷却により,損傷を負ってから 6 時間以内に開始し,その後 48 時間継続した.この点以外はすべての患者に対して標準治療を実施した.転帰の主要評価尺度は,損傷後 6 ヵ月目の時点における機能状態であった.

結 果

二つの治療群の患者の平均年齢と脳損傷の種類および重症度は類似していた.損傷を負ってから無作為化までの平均(±SD)時間は,低体温群が 4.3±1.1 時間,正常体温群が 4.1±1.2 時間であった.また,低体温群の損傷を負ってから目標体温の 33℃に到達するまでの平均時間は 8.4±3.0 時間であった.転帰は,両群とも患者の 57%で不良(不良は,高度の障害,植物状態,または死亡と定義した)であった.死亡率は,低体温群が 28%,正常体温群が 27%であった(p = 0.79).低体温群の患者では,正常体温群の患者よりも合併症によって入院期間が長期化した.また低体温群では,正常体温群よりも頭蓋内圧が高い患者が少なかった.

結 論

負傷後 8 時間以内に体温を 33℃までに低下させる低体温治療は,重症の脳損傷の患者の転帰の改善には有効でない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 556 - 63. )