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February 22, 2001 Vol. 344 No. 8

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ロタウイルスワクチンの経口投与を受けた乳幼児における腸重積
Intussusception among Infants Given an Oral Rotavirus Vaccine

T.V. MURPHY AND OTHERS

背景

腸重積は,腸の一分節がさらに遠位の分節に嵌入する腸管閉塞の病態の一つである.この研究は,4 価のアカゲザル–ヒト再結合型ロタウイルスワクチン(RRV-TV)の投与後に腸重積が発現した乳幼児の症例 9 例が,ワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System)に報告された後の 1999 年 5 月 27 日に開始した.

方 法

米国の 19 州において,生後 1 ヵ月以上 12 ヵ月未満の乳児を対象として,RRV-TV と腸重積の関連の可能性について評価した.1998 年 11 月 1 日~99 年 6 月 30 日までの期間に入院していた乳幼児を,医療記録と放射線記録を体系的に調査することによって識別した.腸重積の各乳幼児に,腸重積の乳幼児と同じ病院で産まれた健常乳幼児を対照として,年齢の合った乳幼児を 4 例ずつマッチさせた.ワクチンの予防接種に関する情報は接種した医療機関に確認した.

結 果

症例対照の解析では,腸重積の乳幼児 429 例とマッチさせた対照乳幼児 1,763 例のデータを解析するとともに,症例シリーズの解析では腸重積の乳幼児 432 例のデータを解析した.RRV-TV の予防接種を受けていた乳幼児は,腸重積の乳幼児では 429 例中の 74 例(17.2%),対照乳幼児では 1,763 例中の 226 例(12.8%)であった(p = 0.02).症例対照の解析では,RRV-TV の初回投与後 3~14 日目に腸重積のリスクの上昇が認められた(補正オッズ比,21.7; 95%信頼区間,9.6~48.9).症例シリーズの解析では,初回接種後 3~14 日目における腸重積の発症率比は 29.4(95%信頼区間,16.1~53.6)であった.2 回目のワクチン接種後にも腸重積のリスクの上昇が認められたが,初回接種後に認められたリスクの上昇よりは少なかった.RRV-TV ワクチン予防接種の全国プログラムが十分に実施されていると仮定すると,このワクチンに起因すると考えられる腸重積は,このワクチンの予防接種を受けた乳幼児 4,670~9,474 人当り 1 人の割合で発生するだろうと推定された.

結 論

腸重積が発症していなかった健常乳幼児に認められた RRV-TV のワクチン予防接種と腸重積の強い関連は,この予防接種と腸重積の因果関係の裏付けとなる根拠である.それゆえ,安全性の側面が改良されたロタウイルスワクチンが緊急に必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 564 - 72. )