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March 1, 2001 Vol. 344 No. 9

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日本における緑茶と胃癌のリスク
Green Tea and the Risk of Gastric Cancer in Japan

Y. TSUBONO AND OTHERS

背景

実験室での研究および症例対照研究では,緑茶摂取による胃癌予防が示唆されているが,これに関する前向き研究はほとんど行われていない.

方 法

1984 年 1 月に,北日本に位置する宮城県の 3 市町の住民,全体で 26,311 人(40 歳以上の男性 11,902 人と女性 14,409 人)が,緑茶の摂取頻度に関する質問を含む自記式調査票に回答した.1992 年 12 月末までの 199,748 人-年の追跡調査期間に,419 例の胃癌症例を確認した(男性 296 例,女性 123 例).Cox 回帰分析を用いて,緑茶の摂取量ごとの胃癌の相対危険度を推定した.

結 果

緑茶摂取は,胃癌リスクと関連しなかった.緑茶の摂取量が 1 日 1 杯未満と比較したときの各摂取量の相対危険度は,性別,年齢,消化性潰瘍の病歴の有無,喫煙状態,飲酒,食事に関するその他の要因,および健康保険の種類で補正すると,1 日 1~2 杯が 1.1(95%信頼区間,0.8~1.6),1 日 3~4 杯が 1.0(95%信頼区間,0.7~1.4),1 日 5 杯以上が 1.2(95%信頼区間,0.9~1.6)であった(傾向性に関する p = 0.13).追跡調査を開始してから 3 年目までに胃癌と診断された 117 例の症例を除外しても,結果は同様であり,対応する相対危険度は,それぞれ 1.2(95%信頼区間,0.8~1.8),1.0(95%信頼区間,0.7~1.5),1.4(95%信頼区間,1.0~1.9)であった(傾向性に関する p = 0.07).

結 論

日本で実施した住民ベースの前向きコホート研究では,緑茶摂取と胃癌リスクとのあいだに関連を認めなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 632 - 6. )