October 4, 2001 Vol. 345 No. 14
作動薬介在性の血管の脱感受性に対するβ2-アドレナリン受容体の一般的遺伝子多型の影響
The Effect of Common Polymorphisms of the β2-Adrenergic Receptor on Agonist-Mediated Vascular Desensitization
A. BAYES-GENIS AND OTHERS
β2-アドレナリン様作動薬への持続的曝露によって,血管組織は,作動薬介在性の血管拡張に対する感受性が失われてくる.われわれは,β2-アドレナリン受容体の二つの一般的な多型,すなわちコドン 16 の多型とコドン 27 の多型の,血管床における作動薬介在性の血管拡張および脱感受性に対する影響について検討した.
三つの遺伝子型を代表するように選択した 26 例の健常被験者を対象として,試験を行った:7 例が Arg16 と Gln27 をコードしている対立遺伝子のホモ接合,8 例が Gly16 と Gln27 をコードしている対立遺伝子のホモ接合,11 例が Gly16 と Glu27 をコードしている対立遺伝子のホモ接合であった.血管反応は,掌背静脈の直径の変化を測定することによって評価した.β2-アドレナリン-受容体作動薬であるイソプロテレノールの影響について,その用量反応曲線を描いた(用量範囲,4~480 ng/分).次に,イソプロテレノールを 2 時間持続注入することによって脱感受性を誘導させて,注入開始後 30,60,90,および 120 分に静脈拡張の測定を行った.
Arg16 のホモ接合であった被験者は,ほぼ完全に感受性が失われた;この群のイソプロテレノールに応答した静脈拡張は,平均(±SE)で 44±11%から 8±4%に減少した(p=0.006).これとは対照的に,Gly16 のホモ接合であった被験者では,コドン 27 によってコードされているアミノ酸にはかかわりなく,有意な脱感受性は示されなかった.Glu27 のホモ接合であった被験者は,Gln27 のホモ接合であった被験者よりも,イソプロテレノールに応答した最大静脈拡張が大きかった(86±13% 対 54±8%,p=0.03).
β2-アドレナリン受容体の Arg16 の多型が,脈管構造における作動薬介在性の脱感受性の増強と関連しており,Glu27 の多型は作動薬介在性の反応性の上昇に関連している.それゆえ,β2-アドレナリン受容体の多型性は,ストレスに対する血管反応の重要な決定因子である可能性がある.