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October 18, 2001 Vol. 345 No. 16

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小売り食肉からの抗菌薬耐性サルモネラの分離
The Isolation of Antibiotic-Resistant Salmonella from Retail Ground Meats

D.G. WHITE AND OTHERS

背景

サルモネラは食品に由来する疾患の主因の 1 つである.抗菌薬耐性サルモネラの出現は,食用として飼育されている動物における抗菌薬の使用に関連している;耐性菌は,食物,とりわけ動物性食物を介してヒトに伝播する可能性がある.首都ワシントン地域で購入した食肉から分離されたサルモネラ菌株を同定し,その特徴を調べた.

方 法

3 店舗のスーパーマーケットで購入した鶏肉,牛肉,七面鳥の肉,および豚肉の検体から,サルモネラが分離された.分離株の特徴は,血清型の決定,抗菌薬に対する感受性試験,ファージ型の決定,およびパルスフィールドゲル電気泳動法によって調べた.耐性インテグロンおよび広域スペクトルの β-ラクタマーゼ遺伝子の同定には,ポリメラーゼ連鎖反応法と DNA 塩基配列決定法を用いた.

結 果

200 件の食肉検体のうち,41 件(20%)にサルモネラが含まれ,その血清型は合計で 13 種類であった.分離株の 84%が少なくとも 1 種類の抗菌薬に耐性化しており,53%が少なくとも 3 種類の抗菌薬に耐性化していた.分離株の 16%が,小児におけるサルモネラ症の治療の選択薬になっているセフトリアキソンに耐性化していた.バクテリオファージのファージ型決定からは,Salmonella enterica の血清型が typhimurium(ネズミチフス)固有型の 104(DT 104)が 4 株,DT 104b が 1 株,DT 208 が 2 株同定された.S. enterica の血清型が agona の 5 株は 9 種類の抗菌薬に耐性化し,血清型が typhimurium DT 208 の 2 株は 12 種類の抗菌薬に耐性化していた.異なる食肉検体および別の店舗の検体から分離された菌株に,相互に区別不能であった DNA の電気泳動パターンが繰り返し認められた.4 種類の血清型を示す 18 株の分離株には,アミノグリコシド,スルホンアミド,トリメトプリム,および β-ラクタムに対して抵抗性を賦与する遺伝子が存在するインテグロンが認められた.

結 論

サルモネラの耐性株が食肉に認められることはよくある.これらの知見は,食用動物に対して抗菌薬を慎重に使用し,さらに農場や食肉処理場に存在している病原体を減らすためのガイドラインの採用を,支持する裏付けになる.抗菌薬耐性サルモネラの全国調査は,小売り食肉を対象に含むように拡大すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1147 - 54. )