November 15, 2001 Vol. 345 No. 20
末期心不全における左心補助装置の長期使用
Long-Term Use of a Left Ventricular Assist Device for End-Stage Heart Failure
E.A. ROSE AND OTHERS
植込み型左心補助装置は,心臓移植までのつなぎ治療として,末期心不全の患者に有益であるが,生存および QOL の改善を目的とした長期使用についての評価は行われていない.
心臓移植に不適格であった末期心不全の患者 129 例を,左心補助装置(68 例)または最適な内科的管理(61 例)の治療に無作為に割付けた.すべての患者が,ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)の分類で IV 度の心不全症状を有していた.
Kaplan-Meier の生存分析により,左心補助装置の治療を受けた群において,全死因死亡のリスクが内科療法群よりも 48%低下したことが示された(相対危険度,0.52;95%信頼区間,0.34~0.78;p=0.001).1 年生存率は,装置群が 52%,内科療法群が 25%であった(p=0.002).2 年生存率はそれぞれ 23%および 8%であった(p=0.09).装置群の重篤な有害事象の頻度は,内科療法群の発現頻度の 2.35 倍(95%信頼区間,1.86~2.95)で,その主なものは感染症,出血,および装置の作動不良などであった.QOL は,1 年目の時点において,装置群で有意な改善が認められた.
進行した心不全の患者における左心補助装置の使用は,臨床的に意味のある生存の有益性と QOL の改善をもたらした.左心補助装置は,心臓移植の候補者ではない特定の患者において受容できる代替療法の 1 つである.