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November 29, 2001 Vol. 345 No. 22

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マーサズ・バインヤード島における原発性肺炎型野兎病の流行
An Outbreak of Primary Pneumonic Tularemia on Martha's Vineyard

K.A. FELDMAN AND OTHERS

背景

2000 年の夏に,原発性肺炎型野兎病が,マサチューセッツ州マーサズ・バインヤード島において大発生した.過去に米国で報告されている唯一の肺炎型野兎病の流行も,1978 年に,この島で発生したものであった.

方 法

肺炎型野兎病の成人を対象とした症例 - 対照研究を実施し,原発性肺炎型野兎病の危険因子を同定するために,環境について詳しく調査した.確定症例の患者は,原発性肺炎型野兎病を示唆する症状を有するマーサズ・バインヤード島の住人または旅行客であり,2000 年の 5 月 15 日~10 月 31 日の期間に病気にかかっていて,野兎病の検査が陽性であった.対照は,2000 年の 5 月 15 日~9 月 28 日の期間に,マーサズ・バインヤード島に少なくとも 15 日間過ごした成人であった.

結 果

野兎病の患者を 15 例同定した;これらの症例のうち,11 例が原発性肺炎型野兎病であった.Francisella tularensis(野兎病菌)の A 型が,死亡した 1 人の男性の血液および肺組織から分離された.患者は,芝刈り機や雑木林用の伐採機を,発病前 2 週間の期間(オッズ比,9.2;95%信頼区間,1.6~68.0),および夏期(オッズ比,不確定;95%信頼区間,1.8~∞)に対照より多く使用したようであった.芝刈りや雑木林の伐採は,その他の可能性のある交絡変数で補正しても有意な危険因子のままであった.わずか 1 例の患者から,雑木林の伐採中にウサギに遭遇したことが報告されただけであった.罠にかかった 40 匹の動物のうち,シマスカンク 1 匹とドブネズミ 1 匹で,F. Tularensis に対する血清抗体検査が陽性であった.

結 論

原発性肺炎型野兎病の今回の流行についての検討は,芝刈りと雑木林の伐採が,この感染症の危険因子として関与していることを意味している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1601 - 6. )