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December 20, 2001 Vol. 345 No. 25

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シクロオキシゲナーゼ阻害薬とアスピリンの抗血小板作用
Cyclooxygenase Inhibitors and the Antiplatelet Effects of Aspirin

F. CATELLA-LAWSON AND OTHERS

背景

関節炎および血管障害の患者は,低用量アスピリンとその他の非ステロイド抗炎症薬の両方の投与を受けることがある.そこで,アスピリンと一般的に処方されている関節炎治療薬の相互作用の可能性について検討した.

方 法

以下のような薬剤の併用投与を 6 日間行った:イブプロフェン(400 mg を毎朝投与)の投与 2 時間前にアスピリン(81 mg を毎朝投与)を投与,および同じ薬剤を逆の順序で投与;アセトアミノフェン(1,000 mg を毎朝投与)の投与 2 時間前にアスピリンを投与,および同じ薬剤を逆の順序で投与;シクロオキシゲナーゼ- 2 阻害薬ロフェコキシブ(rofecoxib)(25 mg を毎朝投与)の投与 2 時間前にアスピリンを投与,および同じ薬剤を逆の順序で投与;イブプロフェン(400 mg を 1 日 3 回投与)の投与 2 時間前に腸溶コーティングされたアスピリンを投与;および徐放性ジクロフェナク(75 mg を 1 日 2 回投与)の投与 2 時間前に腸溶コーティングされたアスピリンを投与.

結 果

1 日 1 回投与の併用薬剤の服薬前にアスピリンを服薬した被験者において,血清中のトロンボキサン B2 濃度(血小板中のシクロオキシゲナーゼ- 1 活性の指標)および血小板凝集が,投与 6 日目のアスピリン投与後 24 時間にもっとも大きく阻害された.アスピリンの服薬前にロフェコキシブまたはアセトアミノフェンを服薬した被験者においても同様であった.これとは対照的に,イブプロフェンを 1 日複数回投与したときだけでなく,アスピリンの投与前にイブプロフェンを 1 日 1 回投与したときには,アスピリンによる血清トロンボキサン B2 の形成および血小板凝集の阻害が抑制された.このようなアスピリンの薬力学への影響は,ロフェコキシブ,アセトアミノフェン,あるいはジクロフェナクとの同時併用投与では認められなかった.

結 論

イブプロフェンとの同時併用投与は,アスピリンによって誘導される不可逆性の血小板阻害作用を拮抗的に減弱させるが,ロフェコキシブ,アセトアミノフェン,あるいはジクロフェナクではこの作用を認めない.心血管系のリスクが上昇している患者に対するイブプロフェンによる治療は,アスピリンの心臓保護作用を損なう可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1809 - 17. )