August 16, 2001 Vol. 345 No. 7
無症候性腟トリコモナス感染症の妊娠女性における早産の予防に対するメトロニダゾールの失敗
Failure of Metronidazole to Prevent Preterm Delivery among Pregnant Women with Asymptomatic Trichomonas vaginalis Infection
M.A. KLEBANOFF AND OTHERS
妊娠中の Trichomonas vaginalis(腟トリコモナス)による感染症は,早産に関連している.妊娠女性の無症候性トリコモナス症に対する治療が早産の発生を減少させるか否かについては,確認されていない.
妊娠女性に,腟分泌物の培養によるトリコモナス症のスクリーニングを実施した.妊娠 16~23 週の無症候性トリコモナス症の女性 617 例を,メトロニダゾール 2 g(320 例)またはプラセボ(297 例)の,48 時間の間隔をあけた 2 回投与に無作為に割付けた.これらの女性には,妊娠 24~29 週目に,これと同じ 2 回投与レジメンの治療を再度実施した.主要転帰は妊娠 37 週以前の分娩であった.
無作為化から追跡調査の期間に,メトロニダゾール群では追跡調査培養を入手できた女性 269 例中 249 例(92.6%),プラセボ群では追跡調査培養が得られた女性 260 例中 92 例(35.4%)において,トリコモナス症が消失した.分娩の時期および特性についてのデータは,メトロニダゾール群では 315 例,プラセボ群では 289 例の女性において入手することができた.妊娠 37 週以前の分娩は,メトロニダゾール群では 60 例(19.0%),プラセボ群では 31 例(10.7%)の女性に発生した(相対危険度,1.8;95%信頼区間,1.2~2.7;p = 0.004).この差は,主として,自然早期陣痛発来の結果として生じた早産の増加に起因したものであった(10.2% 対 3.5%;相対危険度,3.0;95%信頼区間,1.5~5.9).
無症候性トリコモナス症の妊娠女性に対する治療は,早産を防げない.この病態にある無症候性妊娠女性への日常的スクリーニングと治療は,推奨される可能性はない.