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August 30, 2001 Vol. 345 No. 9

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丸ごと細胞の百日咳ワクチン,または麻疹,流行性耳下腺炎,および風疹ワクチンの処方後の痙攣(発作)のリスク
The Risk of Seizures after Receipt of Whole-Cell Pertussis or Measles, Mumps, and Rubella Vaccine

W.E. BARLOW AND OTHERS

背景

ジフテリアおよび破傷風トキソイドと丸ごと細胞の百日咳(DTP)ワクチンと,麻疹,流行性耳下腺炎,および風疹(MMR)ワクチンの投与は,痙攣と関連付けられている.これらのワクチン接種と,小児における最初の痙攣,その後の痙攣,および神経発達障害との関係について検討した.

方 法

このコホート研究は,規模の大きな四つの民間健康保険医療団体(HMO)において実施され,痙攣が発現した小児の医療記録の詳しい調査も含まれていた.340,386 件の DTP ワクチンの予防接種を受けた小児,137,457 件の MMR ワクチンの予防接種を受けた小児,または最近ワクチンの予防接種を受けていない小児から成る 679,942 例において,熱性痙攣および非熱性痙攣の相対危険度を計算した.ワクチン接種後に熱性痙攣が発現した小児には,追跡調査を行い,その後の痙攣とその他の神経学的障害のリスクを明らかにした.

結 果

DTP ワクチンの処方は,ワクチン接種当日のみにおいて熱性痙攣のリスクの上昇と関連していた(補正後の相対危険度,5.70;95%信頼区間,1.98~16.42).MMR ワクチンの処方は,ワクチン接種後 8~14 日目の熱性痙攣のリスクの上昇と関連していた(相対危険度,2.83;95%信頼区間,1.44~5.55).どちらのワクチン接種も,非熱性痙攣のリスクの上昇には関連していなかった.DTP および MMR ワクチンの投与に起因した熱性痙攣の件数は,小児 100,000 人当り,それぞれ 6~9 件および 25~34 件と推定された.ワクチン接種には無関連の熱性痙攣が発現していた他の小児と比較して,ワクチン接種後に熱性痙攣が発現した小児には,その後の熱性痙攣あるいは神経発達障害のリスクの上昇は認められなかった.

結 論

DTP ワクチンあるいは MMR ワクチンの処方後に熱性痙攣のリスクの有意な上昇が認められるが,これらのリスクは,いかなる長期の有害結果にも関連していないようである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 656 - 61. )