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September 6, 2001 Vol. 345 No. 10

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GB ウイルス C との重複感染が HIV 感染症患者の生存に及ぼす影響
Effect of Coinfection with GB Virus C on Survival among Patients with HIV Infection

J. XIANG AND OTHERS

背景

これまでの研究において,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症患者で,GB ウイルス C(GBV-C,または G 型肝炎ウイルス)に重複感染している人々は,HIV 感染症の進行が遅いということが示唆されている.GBV-C は,C 型肝炎ウイルスに類似しているが,肝疾患は引き起さないだろうと考えられている.

方 法

われわれは,GBV-C との重複感染が HIV 感染症の患者の生存に及ぼす影響について検討した.また,in vitro で GBV-C 感染が複製に変化を与えるかどうかを調べるために,両ウイルスに感染させた末梢血単核細胞の培養での評価も行った.

結 果

362 例の HIV 感染患者のうち,144 例(39.8%)が 2 回の検査で GBV-C ウイルス血症であった.GBV-C ウイルス血症の患者の 41 例(28.5%)が追跡調査期間中に死亡したのに対して,GBV-C RNA の検査結果が陰性であった 218 例の患者では 123 例(56.4%)が死亡した(p < 0.001).全コホートに対する追跡調査の平均期間は 4.1 年間であった.HIV 治療,研究開始時の CD4+ T 細胞数,年齢,性別,人種,および HIV の伝播様式によって補正した Cox の回帰分析では,GBV-C に重複感染していなかった 218 例の HIV 感染患者の死亡率が,GBV-C に重複感染していた 144 例の患者の死亡率よりも有意に高かった(相対危険度,3.7;95%信頼区間,2.5~5.4).末梢血単核細胞の培養において,培養上清液における p24 抗原の検出によって測定した HIV の複製は,GBV-C 重複感染によって再現性をもって阻害された.フローサイトメトリーによる測定では,重複感染は,末梢血単核細胞上の HIV 受容体の発現には変化を与えていなかった.

結 論

GBV-C 感染は,HIV 感染症の人々によくみられるものであり,生存の有意な改善と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 707 - 14. )