The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 12, 2001 Vol. 345 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

Ixodes scapularis マダニ咬傷後に発症するライム病の予防を目的としたドキシサイクリンの単回投与による予防
Prophylaxis with Single-Dose Doxycycline for the Prevention of Lyme Disease after an Ixodes scapularis Tick Bite

R.B. NADELMAN AND OTHERS

背景

Ixodes scapularis マダニに咬傷されたあとに抗菌薬治療を行うことによって,ライム病が予防できるかどうは明らかにされていない.

方 法

ライム病の広く蔓延しているニューヨーク州のある地域において,身体に付着していた I. scapularis マダニを,試験開始前の 72 時間以内に駆除した 482 例の被験者を対象として,プラセボを対照とした,ドキシサイクリン 200 mg を単回投与する治療の二重盲検無作為比較試験を実施した.試験開始時と 3 週目および 6 週目に,被験者に面接および検査を行い,血清抗体検査を,Borrelia burgdorferi の血液培養とともに実施した.

結 果

マダニ咬傷部位に遊走性紅斑が発現した被験者の割合は,ドキシサイクリン群のほうがプラセボ群よりも有意に少なかった(235 例の被験者のうち 1 例 [0.4%] 対 247 例の被験者のうち 8 例 [3.2%],p < 0.04).ドキシサイクリン治療の有効率は 87%であった(95%信頼区間,25 ~ 98%).ライム病の皮膚以外の他覚的徴候はどの被験者にも発現せず,無症候性のセロコンバージョンもまったく認められなかった.有害作用は,ドキシサイクリンの治療に関連して発現頻度が高くなっていたが(被験者の 30.1%に対し,プラセボでは 11.1%;p < 0.001),その主なものは,悪心(15.4% 対 2.6%)と嘔吐(5.8% 対 1.3%)であった.遊走性紅斑は,予防治療が行われなかった咬傷では,マダニの若虫に咬傷されたときのほうが,雌のマダニの成虫に咬傷されたときよりも発現頻度が高かった(142 件の咬傷のうち 8 件 [5.6%] 対 97 件の咬傷のうち 0 件 [0%],p = 0.02).

結 論

ライム病は,I. scapularis マダニに咬傷されたあと 72 時間以内にドキシサイクリン 200 mg を単回投与することによって,発症を予防することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 79 - 84. )