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September 20, 2001 Vol. 345 No. 12

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2 型糖尿病による腎症患者におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬イルベサルタンの腎臓保護作用
Renoprotective Effect of the Angiotensin-Receptor Antagonist Irbesartan in Patients with Nephropathy Due to Type 2 Diabetes

E.J. LEWIS AND OTHERS

背景

2 型糖尿病患者において,アンジオテンシン-II 受容体拮抗薬イルベサルタン(irbesartan)と,カルシウムチャネル拮抗薬アムロジピンのいずれが,全身血圧の降圧作用とは独立して,腎症の進行を減速させるかについてはわかっていない.

方 法

2 型糖尿病による腎症の高血圧患者 1,715 例を,イルベサルタン(300 mg/日),アムロジピン(10 mg/日),またはプラセボの治療に無作為に割付けた.目標血圧は,すべての群で 135/85 mmHg 以下であった.血清クレアチニン濃度が試験開始時の 2 倍になること,末期腎不全への進展,または全死因死亡から成る主要複合エンドポイントにいたるまでの時間について,群間比較を行った.副次的な,心血管系の複合エンドポイントにいたるまでの時間についての比較も行った.

結 果

追跡調査の平均期間は 2.6 年間であった.イルベサルタンの治療は,主要複合エンドポイントのリスクが,プラセボ群のリスクよりも 20%低く(p=0.02),アムロジピン群のリスクよりも 23%低い(p=0.006)ことに関連していた.血清クレアチニン濃度が 2 倍になるリスクは,イルベサルタン群が,プラセボ群よりも 33%低く(p=0.003),アムロジピン群よりも 37%低かった(p<0.001).イルベサルタンの治療は,末期腎不全の相対リスクが,ほかの 2 群よりも 23%低下したことに関連していた(いずれの群との比較でも,p=0.07).これらの差は,到達血圧の差によっては説明されなかった.血清クレアチニン濃度の上昇は,イルベサルタン群では,プラセボ群よりも 24%遅く(p=0.008),アムロジピン群よりも 21%遅かった(p=0.02).全死因死亡率にも心血管系の複合エンドポイントにも,有意差は認められなかった.

結 論

アンジオテンシン-II 受容体遮断薬のイルベサルタンは,2 型糖尿病による腎症の進行から保護するのに有効である.この保護作用は,この薬剤がもたらす血圧降下とは独立している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 851 - 60. )