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September 27, 2001 Vol. 345 No. 13

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パーキンソン病における視床下核または淡蒼球内節の脳深部刺激
Deep-Brain Stimulation of the Subthalamic Nucleus or the Pars Interna of the Globus Pallidus in Parkinson's Disease

THE DEEP-BRAIN STIMULATION FOR PARKINSON'S DISEASE STUDY GROUP

背景

視床下核および淡蒼球内節におけるニューロン活性の亢進は,パーキンソン病患者の運動機能障害を説明するものであると考えられている.これらの構造に損傷が形成されると,パーキンソニズムを誘発させたサルとパーキンソン病の患者において,運動機能が改善しているが,このような損傷は,とくに両側に出現した場合には,神経学的欠損との関連が認められている.脳深部刺激は,脳組織を破壊することなく,損傷と同じ効果を現す.

方 法

進行したパーキンソン病の患者を対象として,前向きの二重盲検クロスオーバー試験を実施し,これらの患者の視床下核あるいは淡蒼球内節に電極を植込み,両側に高周波脳深部刺激を行った.刺激が入または切に無作為に割付けられたときの,パーキンソン病総合評価尺度(the Unified Parkinson's Disease Rating Scale)の運動に関する部分のスコアを比較した.非盲検による運動機能の評価を,術前,術後 1 ヵ月,3 ヵ月,および 6 ヵ月目に実施した.

結 果

視床下核群の 96 例の患者と淡蒼球群の 38 例の患者に対して,電極を両側に植込んだ.植込み手技 3 ヵ月後に実施した二重盲検クロスオーバー評価では,視床下核の刺激は中央値で 49%の運動スコアの改善(刺激が与えられなかった場合との比較),淡蒼球内節の刺激は中央値で 37%の改善に結び付いたことが示された(どちらの比較においても,p<0.001).患者が不随意運動を伴わない良好な可動性を示した時間が 1 日に占める割合は,術前の来院から術後 6 ヵ月目の来院までのあいだに,視床下核の刺激では 27%から 74%に増加し(p<0.001),淡蒼球の刺激では 28%から 64%に増加した(p<0.001).有害事象には,7 例の頭蓋内出血と,2 例の導線の取り外しを必要とする感染症が含まれていた.

結 論

視床下核あるいは淡蒼球内節の両側刺激は,薬物療法ではこれ以上の改善が不可能な病態のパーキンソン病患者において,運動機能の有意な改善に結び付く.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 956 - 63. )