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May 23, 2002 Vol. 346 No. 21

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BRCA1 または BRCA2 突然変異を有する女性におけるリスク減少のための卵管卵巣摘出術
Risk-Reducing Salpingo-oophorectomy in Women with a BRCA1 or BRCA2 Mutation

N.D. KAUFF AND OTHERS

背景

リスク減少のための卵管卵巣摘出術は,出産を終えた BRCA 突然変異の保因者でしばしば考慮の対象となる.しかし,この方法の有効性を裏付けるデータは限られている.そこで,われわれは BRCA 突然変異を有する女性における乳癌や BRCA 関連の婦人科系癌のその後の発生率について,リスク減少のための卵管卵巣摘出術と卵巣癌のサーベイランスの影響を前向きに比較した.

方 法

6 年間に BRCA1 または BRCA2 突然変異が同定されたすべての女性に前向き追跡研究への参加を依頼した.35 歳以上で,両側の卵巣摘出術を受けていない女性合計 170 例が,卵巣癌のサーベイランス,またはリスク減少のための卵管卵巣摘出術のいずれかを行うことを選択した.追跡調査には,1 年ごとの質問票,電話による接触,医療記録の再調査が含まれていた.2 群における癌の発生までの期間は Kaplan-Meier 分析と Cox 比例ハザードモデルで比較した.

結 果

平均追跡期間 24.2 ヵ月のあいだに,リスク減少のための卵管卵巣摘出術を選択した女性 98 例中 3 例で乳癌が診断され,同群の 1 例で腹膜癌が診断された.サーベイランスを選択した女性 72 例では,8 例で乳癌,4 例で卵巣癌,1 例で腹膜癌が診断された.乳癌または BRCA 関連の婦人科系癌の発生までの期間は,リスク減少のための卵管卵巣摘出術群のほうが卵巣癌サーベイランス群よりも長く,続発する乳癌または BRCA 関連の婦人科系癌のハザード比は 0.25 であった(95%信頼区間 0.08~0.74).

結 論

BRCA 突然変異の保因者における卵管卵巣摘出術は,乳癌や BRCA 関連の婦人科系癌のリスクを減少させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1609 - 15. )