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May 23, 2002 Vol. 346 No. 21

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食事制限による体重減少または胃バイパス手術後の血漿中グレリン濃度
Plasma Ghrelin Levels after Diet-Induced Weight Loss or Gastric Bypass Surgery

D.E. CUMMINGS AND OTHERS

背景

体重減少は,体重再増加を促進するために,食欲とエネルギー消費の変化を引き起こす.グレリンは齧歯類とヒトの食物摂取量を増加させるホルモンである.循環血中のグレリンが体重減少に対する適応反応に関与しているのであれば,食事制限の実施に伴いグレリン濃度が上昇すると考えられる.グレリンは主に胃で作られるため,胃バイパス手術後の体重減少には,グレリン分泌障害が関連している可能性がある.

方 法

減量のための 6 ヵ月間に及ぶ食事制限プログラム参加前後に,肥満被験者 13 例について 24 時間血漿中グレリン濃度変化,体組成,インスリン濃度,レプチン濃度,およびインスリン感受性を測定した.24 時間グレリン濃度変化は,胃バイパス手術後に体重が減少した被験者 5 例と,正常体重の対照者 10 例においても測定した.食事制限プログラムに参加した肥満被験者 13 例中 5 例を,胃バイパス群の被験者とマッチさせて,肥満対照者とした.

結 果

血漿中グレリン濃度は,毎食事直前に急激に上昇し,直後に低下した.食事制限により最初の体重を 17%減少させると,24 時間グレリン濃度曲線下面積が 24%増加した(P=0.006).対照的に,胃バイパス手術後に体重が 36%減少したにもかかわらず,胃バイパス群のグレリン濃度曲線下面積は正常体重対照群よりも 77%少なく(P<0.001),マッチさせた肥満対照群よりも 72%少なかった(P=0.01).胃バイパス後は,グレリン濃度の食事に関連した正常な変動と日周リズムは認められなかった.

結 論

食事制限による体重減少に伴う血漿中グレリン濃度の増加は,グレリンが長期的な体重調節に関与しているという仮説と一致している.胃バイパス手術はグレリン濃度の顕著な抑制と関連しており,これがこの手術の体重減少作用の一因となっている可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1623 - 30. )