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May 30, 2002 Vol. 346 No. 22

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病院の看護の充足度とケアの質
Nurse-Staffing Levels and the Quality of Care in Hospitals

J. NEEDLEMAN, P. BUERHAUS, S. MATTKE, M. STEWART, AND K. ZELEVINSKY

背景

病院の看護の充足度が低いと,患者の合併症や死亡のリスクが高まるかどうかは不明である.

方 法

米国 11 州の 799 病院の 1997 年の管理データ(内科患者の退院 5,075,969 例と外科患者の退院 1,104,659 例のデータ)を用いて,病院で看護師によって提供されたケアの量と患者の転帰との関係を検討した.患者の有害な転帰のリスク,各病院の患者に必要な看護ケアの差,および他の変数を補正した回帰分析を行った.

結 果

看護ケアの平均時間は患者-日当り 11.4 時間であり,このうち 7.8 時間は正看護師,1.2 時間は准看護師,2.4 時間は看護助手により提供された.内科患者では,正看護師によって提供される 1 日当りのケアの時間的割合が高いほど,また,正看護師によって提供される 1 日当りのケアの絶対時間が長いほど,入院期間が短く(それぞれ P=0.01 および P<0.001),尿路感染(それぞれ p<0.001 および P=0.03),上部消化管出血(それぞれ P=0.03 および P=0.007)の発生率が低かった.また,正看護師によって提供されるケアの時間的割合が高いほど,肺炎(P=0.001),ショックや心停止(P=0.007),および,「救命の失敗」(肺炎,ショックや心停止,上部消化管出血,敗血症,あるいは深部静脈血栓症による死亡として定義)(P=0.05)の発生率が低かった.外科患者では,正看護師によって提供されるケアの割合が高いほど尿路感染の発症率が低く(P=0.04),正看護師に提供される 1 日当りのケア時間が長いほど,「救命の失敗」の発生率が低かった(P=0.008).正看護師による看護の充足度の増大と院内死の発生率,または准看護師や看護助手による充足度の増加と有害な転帰の発生率とのあいだの関連は認められなかった.

結 論

正看護師によって提供されるケアの時間的割合が高いほど,また正看護師によって提供される 1 日当りのケア時間が長いほど,入院患者のケアはよりよくなる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1715 - 22. )