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June 13, 2002 Vol. 346 No. 24

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妊娠中の抗レトロウイルス療法と有害転帰リスク
Antiretroviral Therapy during Pregnancy and the Risk of an Adverse Outcome

R.E. TUOMALA AND OTHERS

背景

1 型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に感染した妊婦に対する併用抗レトロウイルス療法は,早産や妊娠に関する他の有害転帰のリスクを上昇させることが一部の研究で示唆されている.

方 法

われわれは,7 つの臨床研究に登録され 1990~98 年のあいだに出産した HIV-1 感染妊婦を調査した.コホート集団は,妊娠中に抗レトロウイルス療法を受けた女性 2,123 例(1,590 例は単剤療法,396 例はプロテアーゼ阻害剤を含まない併用療法,137 例はプロテアーゼ阻害剤を含む併用療法)と,抗レトロウイルス療法を受けなかった女性 1,143 例から構成された.

結 果

CD4+ 細胞数ならびに,喫煙,飲酒,違法薬物の使用の有無で標準化したところ,早産(妊娠<37 週)率は,抗レトロウイルス療法を受けた女性と受けなかった女性のあいだでほぼ同等であった(それぞれ 16%と 17%);低出生体重(<2,500 g)率は,両群において出生児の 16%であった;超低出生体重(<1,500 g)率は,抗レトロウイルス療法を受けた群で 2%,受けなかった群で 1%であった.低アプガースコア(<7)率および死産率も 2 群でほぼ同じか同一であった.複数のリスク因子で補正したところ,併用抗レトロウイルス療法は単剤療法と比較して,早産リスク(オッズ比 1.08;95%信頼区間 0.71~1.62)や低出生体重児出産リスク(オッズ比 1.03;95%信頼区間 0.64~1.63)の増加とは関連しなかった.プロテアーゼ阻害剤を含む併用療法を受けた女性では 7 例(5%)が超低出生体重児を出産したが,プロテアーゼ阻害剤を含まない併用療法を受けた女性では 9 例(2%)であった(補正オッズ比 3.56;95%信頼区間 1.04~12.19).

結 論

抗レトロウイルス療法を受けなかった場合,あるいは単剤療法と比較して,妊婦における HIV-1 感染に対する併用療法は,未熟産率の上昇,あるいは新生児の低出生体重,低アプガースコア,死産とは関連していない.プロテアーゼ阻害剤を含む併用療法と超低出生体重リスクの増加との関連については,確認が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1863 - 70. )