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June 13, 2002 Vol. 346 No. 24

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術後の黄色ブドウ球菌感染を予防するための鼻腔内ムピロシン
Intranasal Mupirocin to Prevent Postoperative Staphylococcus aureus Infections

T.M. PERL AND OTHERS

背景

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を鼻腔に保菌する患者は,S. aureus による手術部位の感染リスクが高い.ムピロシン軟膏による治療は,鼻腔の S. aureus 保菌率を減少させることができ,術後の S. aureus 感染を予防するかもしれない.

方 法

われわれは,ムピロシンによる鼻腔内治療が手術部位の S. aureus 感染率を減少させ,他の感染を予防できるかどうかを検討するため,無作為二重盲検プラセボ対照試験を実施した.

結 果

一般外科,婦人科系,神経系または心胸郭の手術を施行した,登録患者 4,030 例のうち 3,864 例を intention-to-treat 解析に組み入れた.全体として,ムピロシン治療を受けた患者の 2.3%とプラセボ治療を受けた患者の 2.4%で手術部位に S. aureus 感染が認められた.前鼻孔に S. aureus を保菌していた患者 891 例(試験を完了した 3,864 例中 23.1%)のうち,444 例はムピロシン治療を,447 例はプラセボ治療を受けた.S. aureus を鼻腔に保菌する患者では,ムピロシン治療群の 4.0%が(手術部位以外も含めて)S. aureus に感染し,プラセボ対照群では 7.7%が感染した(感染のオッズ比 0.49;95%信頼区間 0.25~0.92;P=0.02).

結 論

ムピロシンの予防的鼻腔内塗布は,試験全体では S. aureus による手術部位の感染率を有意に減少させなかったが,S. aureus 保菌患者では S. aureus によるすべての感染率を有意に減少させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1871 - 7. )