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June 20, 2002 Vol. 346 No. 25

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びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対する化学療法後の生存期間を予測するための分子プロファイリングの使用
The Use of Molecular Profiling to Predict Survival after Chemotherapy for Diffuse Large-B-Cell Lymphoma

A. ROSENWALD AND OTHERS

背景

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫患者の化学療法後の生存期間は,腫瘍の分子的特徴により影響される.われわれは,生存期間の分子予測因子を開発するために,これらのリンパ腫の遺伝子発現プロフィールを使用した.

方 法

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫患者 240 例の生検標本について,DNA マイクロアレイを用いて遺伝子発現を解析し,ゲノム異常を検討した.階層的クラスター形成に基づいて,特徴的な遺伝子発現プロフィールを示すサブグループを定義した.リスクの分子予測因子は,患者 160 例から成る先行群において生存期間と関連した発現パターンを示す遺伝子を用いて作成し,その後患者 80 例から成る確認群において評価した.この予測因子の正確度は,国際予後指標の正確度と比較した.

結 果

胚中心 B 細胞様,活性化 B 細胞様,および 3 型びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の,3 つの遺伝子発現サブグループが同定された.bcl-2 転座と c-rel 増幅という,びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫でよくみられる 2 つの発癌イベントは,胚中心 B 細胞様サブグループにおいてのみ検出された.このサブグループの患者は,5 年生存率がもっとも高かった.転帰に関するその他の分子決定因子を同定するために,われわれは,先行患者群において生存期間と相関する発現パターンを示した個々の遺伝子について検討した.これらの遺伝子のほとんどは,胚中心 B 細胞,増殖細胞,リンパ節における反応性間質細胞と免疫細胞,あるいは主要組織適合抗原クラス II 複合体に特徴的な 4 つの遺伝子発現サイン信号の範囲内にあった.われわれは,化学療法後の全生存率に対する予測因子を作成するために 17 の遺伝子を用いた.この遺伝子に基づく予測因子と国際予後指標とは独立した予後因子であった.

結 論

DNA マイクロアレイは,びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の化学療法後の生存期間に対する分子予測因子を策定するために使用することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1937 - 47. )