長期低用量アスピリン投与による潰瘍合併症の再発予防のためのランソプラゾール
Lansoprazole for the Prevention of Recurrences of Ulcer Complications from Long-Term Low-Dose Aspirin Use
K.C. LAI AND OTHERS
低用量アスピリンを長期服用している患者で,ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)除菌後の潰瘍合併症の再発を予防するうえでの胃酸分泌抑制の役割は明確ではない.
われわれは,低用量アスピリンの 1 ヵ月以上の連続投与後に潰瘍合併症を起し,H. pylori に感染していた患者 123 例を登録した.潰瘍治癒後および H. pylori 除菌後,患者を 12 ヵ月間,アスピリン投与(1 日 100 mg)に加えて,ランソプラゾール投与(1 日 30 mg)またはプラセボによる治療のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは潰瘍合併症の再発であった.
中央値 12 ヵ月の追跡期間中,潰瘍合併症の再発がみられたのは,プラセボ群患者では 61 例中 9 例(14.8%)で,ランソプラゾール群では 62 例中 1 例(1.6%)であった(補正ハザード比 9.6;95%信頼区間 1.2~76.1).これら再発した患者 10 例のうち 4 例には H. pylori 感染再発の証拠があり,2 例は合併症発現前に非ステロイド性抗炎症薬を服用していた.ランソプラゾール群患者は,プラセボ群と比べると潰瘍合併症の再発の可能性が有意に低かった(P=0.008).両群では死亡率に有意差はなかった.
低用量アスピリンの長期服用に関連して潰瘍合併症を発症した患者では,H. pylori 感染の除菌に加えてランソプラゾールによる治療が潰瘍合併症の再発率を有意に減少させる.