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January 24, 2002 Vol. 346 No. 4

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好中球減少症に持続性発熱を併発した患者に対する経験的抗真菌療法におけるボリコナゾールとリポソーム型アムホテリシン B の比較
Voriconazole Compared with Liposomal Amphotericin B for Empirical Antifungal Therapy in Patients with Neutropenia and Persistent Fever

T.J. WALSH AND OTHERS

背景

好中球減少症に持続性発熱を併発した患者には,侵襲性真菌感染症の予防を目的に,経験的にアムホテリシン B やリポソーム型アムホテリシン B が投与されることが多い.抗真菌薬トリアゾールは,より安全で効果的な代替薬の可能性がある.

方 法

国際的な多施設共同無作為試験によって,経験的抗真菌療法において,新しい第二世代トリアゾールであるボリコナゾールとリポソーム型アムホテリシン B を比較した.

結 果

患者 837 例(415 例はボリコナゾールに,422 例はリポソーム型アムホテリシン B に割付けた)を対象に,治療法の成果を評価した.全体の成功率は,ボリコナゾールで 26.0%,リポソーム型アムホテリシン B では 30.6%であった(差の 95%信頼区間,-10.6~1.6%ポイント).これらの割合は,抗真菌薬の予防的投与やコロニー刺激因子の使用とは無関係であった.ボリコナゾール群の真菌感染発症の報告例は,リポソーム型アムホテリシン B 群の報告例よりも少なかった(8 例[ 1.9%]対 21 例[ 5.0%],p=0.02).ボリコナゾール群では,重症の点滴随伴反応(p<0.01)および腎毒性(p<0.001)の症例がより少なかった.肝毒性発症率は両群でほぼ同じであった.ボリコナゾール群では,リポソーム型アムホテリシン B 群よりも,一過性視覚変化(22% 対 1%,p<0.001)や幻覚(4.3% 対 0.5%,p<0.001)の症状が多かった.ボリコナゾール群の 22%で,非経口剤ボリコナゾールを経口剤に変更し,これにより平均入院期間が全症例で 1 日減少し(p=0.17),高リスク患者では 2 日減少した(p=0.03).

結 論

好中球減少症に持続性発熱を併発した患者に対する経験的抗真菌療法において,ボリコナゾールはアムホテリシン B 製剤の代替薬として適切である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 225 - 34. )