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January 24, 2002 Vol. 346 No. 4

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無症候性聴覚障害におけるコネキシン 30 遺伝子を含む欠失
A Deletion Involving the Connexin 30 Gene in Nonsyndromic Hearing Impairment

I. DEL CASTILLO AND OTHERS

背景

遺伝性聴覚障害は,新生児 2,000 人中約 1 人に発症する.各集団で,常染色体劣性無症候性言語修得前難聴患者のうち 50%にのぼる患者では,染色体 13q12 の DFNB1 遺伝子座にある GJB2 遺伝子(ギャップ結合蛋白であるコネキシン 26 をコードしている)に変異がある.しかし,GJB2 変異をもつ患者の多く(10~42%)は,ただ 1 つの変異対立遺伝子しかもたず,随伴変異はまだ同定されていない.また,GJB2 変異をもたない DFNB1 連鎖家族性症例も報告されている.

方 法

われわれは,1 つの GJB2 変異対立遺伝子しか認められない無症候性言語修得前難聴のそれぞれ血縁関係のない家系の発端者 33 例について検討した.9 例では,DFNB1 との連鎖がみられた.GJB2 に関連する変異以外の変異を探索するために,13q12 上のマーカーに対しハプロタイプ解析を行った.

結 果

コネキシン 30 をコードする遺伝子(GJB6)中に 342kb の欠失を検出確認した.コネキシン 30 は,内耳でコネキシン 26 とともに発現すると報告されている蛋白である.この欠失は GJB2 の末端へ伸びていたが,GJB2 遺伝子は完全なまま存在していた.欠失の切断連結部を単離し,配列を決定した.さらに,このよくみられる変異の有無を調べる特定の診断テストを考案した.33 例中 22 例では,GJB6 変異と GJB2 変異はともにヘテロ接合性で,9 例全例に DFNB1 との連鎖が認められた.2 例では GJB6 変異はホモ接合性であった.

結 論

GJB6 中の 342kb 欠失は,言語修得前難聴を起す変異としては,スペイン人で 2 番目に頻発する.われわれの結果から,2 つの遺伝子(GJB2 GJB6)を含む DFNB1 複合遺伝子座の変異により,言語修得前難聴遺伝は単一遺伝子性パターンか二遺伝子性パターンになる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 243 - 9. )