February 14, 2002 Vol. 346 No. 7
組換え型エリスロポエチン投与患者における赤芽球癆と抗エリスロポエチン抗体
Pure Red-Cell Aplasia and Antierythropoietin Antibodies in Patients Treated with Recombinant Erythropoietin
N. CASADEVALL AND OTHERS
3 年のあいだに,われわれは,組換え型ヒトエリスロポエチン(エポエチン)投与期間に赤芽球癆を発症した患者 13 例を確認した.われわれは,これらの患者において貧血に免疫的基盤があるのかどうかを調査した.
赤芽球癆患者 13 例の血清標本について,in vitro において正常骨髄細胞による赤芽球コロニー形成を阻害できる中和抗体を検査した.抗エリスロポエチン抗体の存在は,放射標識した無傷の,脱糖化した,あるいは変性させたエポエチンを用いた結合試験によって確認した.
患者 13 例すべての血清は,正常骨髄細胞による赤芽球コロニーの形成を阻害した.この阻害は,エポエチンによって抑えられた.患者 13 例中 12 例の抗体は,エポエチンの蛋白部分の立体構造エピトープにのみ結合し,残りの患者の血清はエリスロポエチンの立体構造エピトープと立体構造非依存性エピトープ両者に結合した.全患者において抗体価は,エポエチンによる治療の中断後緩徐に減少した.
慢性腎不全性の貧血患者においては,エポエチン治療期間中に抗エリスロポエチン中和抗体が出現し,赤芽球癆が発現しうる.