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February 21, 2002 Vol. 346 No. 8

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心停止後の神経学的転帰を改善するための軽度低体温療法
Mild Therapeutic Hypothermia to Improve the Neurologic Outcome after Cardiac Arrest

THE HYPOTHERMIA AFTER CARDIAC ARREST STUDY GROUP

背景

広範な大脳虚血を伴う心停止は,しばしば重篤な神経障害をきたす.われわれは,軽度の全身低体温が,心室細動による心停止からの蘇生後の神経学的回復の割合を増加させるかどうかを検討した.

方 法

転帰を盲検評価した今回の多施設試験では,心室細動による心停止から蘇生した患者を 24 時間にわたる低体温治療(目標温度 32~34℃,膀胱で測定)または正常体温での標準治療のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは,心停止後 6 ヵ月以内の良好な神経学的転帰であり,副次的エンドポイントは,6 ヵ月以内の死亡と 7 日以内の合併症の割合であった.

結 果

低体温群のうちデータを利用できる患者 136 例中 75 例(55%)で,良好な神経学的転帰(大脳反応区分,1[ 十分な回復 ]または 2[ 中等度の障害 ])を示し,これに対し,正常体温群の患者では 137 例中 54 例(39%)が良好な転帰であった(リスク比,1.40;95%信頼区間,1.08~1.81).6 ヵ月後の死亡率は,低体温群では 41%(137 例中 56 例が死亡),これに対し正常体温群では 55%(138 例中 76 例が死亡;リスク比,0.74;95%信頼区間,0.58~0.95)であった.合併症の割合は 2 群間に有意差はなかった.

結 論

心室細動による心停止後に蘇生が成功した患者では,軽度低体温療法は,良好な神経学的転帰の割合を増加させ,死亡率を低下させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 549 - 56. )