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February 21, 2002 Vol. 346 No. 8

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リポジストロフィーに対するレプチン補充療法
Leptin-Replacement Therapy for Lipodystrophy

E.A. ORAL AND OTHERS

背景

脂肪細胞ホルモンであるレプチンは,エネルギー・ホメオスタシスの調節に重要である.重度のリポジストロフィーは,レプチン欠乏症,インスリン抵抗性,高トリグリセリド血症,肝臓脂肪症が関連していることから,われわれは,レプチン補充がリポジストロフィーを改善できるかどうかを検討した.

方 法

リポジストロフィーに罹患し,血清中レプチン濃度が 4 ng / mL(0.32 nmol / mL)未満の女性患者 9 例(年齢範囲 15~42 歳,8 例は糖尿病)に,組換え型メチオニルヒトレプチン(組換え型レプチン)を投与した.組換え型レプチンは,レプチンの生理的な補充濃度が低,中,高濃度になるように用量を漸増し,1 日 2 回 4 ヵ月間,皮下投与した.

結 果

組換え型レプチンを投与しているあいだ,血清中レプチン濃度は,平均(±SE)1.3±0.3 ng / mL から 11.1±2.5 ng / mL に(0.1±0.02 nmol / mL から 0.9±0.2 nmol / mL に)増加した.糖尿病患者 8 例のグリコヘモグロビン値の絶対減少率は 1.9%(95%信頼区間,1.1~2.7%;p=0.001)であった.4 ヵ月間の治療により,9 例全例の平均トリグリセリド濃度は 60%(95%信頼区間,43~77%;p<0.001)低下し,肝体積は平均 28%(95%信頼区間,20~36%;p=0.002)減少し,抗糖尿病治療は中止されるか,またはかなり減量された.患者の自己報告による 1 日のカロリー摂取量および安静時代謝率の測定値も,治療により有意に減少した.全体的に,組換え型レプチン療法は忍容性が高かった.

結 論

レプチン補充療法は,リポジストロフィーとレプチン欠乏症に罹患した患者の血糖コントロールを改善し,トリグリセリド濃度を低下した.レプチン欠乏症は,重度のリポジストロフィーに関連したインスリン抵抗性およびその他の代謝異常を引き起している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 570 - 8. )