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March 7, 2002 Vol. 346 No. 10

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末梢血幹細胞レシピエントにおけるドナー由来の肝細胞と上皮細胞
Hepatocytes and Epithelial Cells of Donor Origin in Recipients of Peripheral-Blood Stem Cells

M. KOBLING AND OTHERS

背景

骨髄には,さまざまな器官の成熟細胞へと分化する潜在力をもつ幹細胞が含まれている.われわれは,循環している幹細胞に同様な潜在力があるかどうかを検討した.

方 法

末梢血(11 例)または骨髄(1 例)からの造血幹細胞を移植された患者 12 例の肝臓,胃腸管,および皮膚の生検検体を採取した.女性患者 6 例は男性ドナーから移植を受けていた.5 例は同性からの移植で,1 例は自家移植であった.造血幹細胞の生着は細胞遺伝学的分析または制限酵素切断片長多型(RFLP)分析で確認された.静止核の蛍光 in situ ハイブリッド形成法とサイトケラチン,CD45(白血球共通抗原)および肝細胞特異抗原の免疫組織化学的染色を用いて生検検体中のドナー由来の上皮細胞または肝細胞の有無を調べた.

結 果

異性から移植を受けた全 6 例では,完全な造血ドナーキメリズムの証拠がみられた.XY 陽性の上皮細胞または肝細胞は,生検検体の組織切片中の細胞のうち 0~7%であった.これらの細胞は,造血幹細胞移植後,肝組織では早くも 13 日目に,皮膚細胞では遅れて 354 日目に同定された.生検検体中のドナー細胞の存在は,移植片対宿主病により誘発された組織損傷の程度に依存しているようには思われなかった.

結 論

末梢血に循環している幹細胞は,成熟した肝細胞,皮膚および胃腸管の上皮細胞に分化することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 738 - 46. )