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March 21, 2002 Vol. 346 No. 12

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リーシュマニア原虫による皮膚リーシュマニア症治療のためのフルコナゾール
Fluconazole for the Treatment of Cutaneous Leishmaniasis Caused by Leishmania major

A.A. ALRAJHI AND OTHERS

背景

特定の経口抗真菌薬アゾールが,リーシュマニア属に対する抗菌活性をもっていることは十分報告されているが,リーシュマニア症に対するフルコナゾールの効果に関するデータは乏しい.われわれは,サウジアラビアにおいて,リーシュマニア原虫(Leishmania major)による皮膚リーシュマニア症の治療のためのフルコナゾールに関する比較対照試験を実施した.

方 法

今回の無作為二重盲検プラセボ対照試験では,寄生虫学的に確認された皮膚リーシュマニア症の治療において,経口フルコナゾール,200 mg/日,6 週間,の効果を評価した.主要転帰基準は,全病変の完全治癒までの時間であった.

結 果

計 106 例の患者をフルコナゾール投与群に割付け,103 例をプラセボ投与群に割付けた.追跡データはそれぞれ患者 80 例および 65 例で入手できた.3 ヵ月後の追跡調査において,フルコナゾール群の患者 80 例中 63 例(79%),プラセボ群の患者 65 例中 22 例(34%)で病変の治癒が完全であった(完全治癒の相対リスク,2.33;95%信頼区間,1.63~3.33).Intention-to-treat 解析によると,治癒率はそれぞれ 59%と 22%であった(相対リスク,2.76;95%信頼区間,1.84~4.12).追跡調査のために戻ってきたフルコナゾール群の患者 11 例(14%)と,経口投与が失敗に終ったと判断されたプラセボ群の患者 33 例(51%)には,スチボグルコネートナトリウムを与えた.Kaplan-Meier 分析によると,治癒までの期間は,フルコナゾール群でより短かった(中央値,8.5 週;プラセボ群では 11.2 週;log-rank 検定により p<0.001).副作用は軽度で,両群においてほぼ同じであった.

結 論

経口フルコナゾールの 6 週間投与は,L. major による皮膚リーシュマニア症に対する安全で有用な治療法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 891 - 5. )