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October 10, 2002 Vol. 347 No. 15

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やや広範囲の肺塞栓症患者に対するヘパリンとアルテプラーゼの併用投与とヘパリン単独投与の比較
Heparin plus Alteplase Compared with Heparin Alone in Patients with Submassive Pulmonary Embolism

S. KONSTANTINIDES, A. GEIBEL, G. HEUSEL, F. HEINRICH, AND W. KASPER

背景

血行力学的に安定した,やや広範囲の急性肺塞栓症患者の治療における血栓溶解剤の使用には,依然として議論の余地がある.

方 法

急性肺塞栓症および肺高血圧または右心室機能不全を有するが低血圧またはショック症状は有さない患者を対象に試験を行った.これらの患者を,二重盲検にて,2 時間にわたるヘパリンとアルテプラーゼ 100 mg の併用投与,またはヘパリンとプラセボの併用投与に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,院内死亡または治療の強化を必要とする臨床症状の悪化とした.治療の強化は,カテコールアミン輸注,二次的な血栓溶解療法,気管内挿管,心肺蘇生術,または緊急外科的塞栓切除かカテーテルによる血栓破砕と定義した.

結 果

組み入れた患者 256 例中 118 例をヘパリンとアルテプラーゼの併用投与に,138 例をヘパリンとプラセボの併用投与に無作為に割付けた.主要エンドポイントの発生率は,ヘパリン+プラセボ群のほうがヘパリン+アルテプラーゼ併用群よりも有意に高かった(P=0.006).また,30 日間無事象生存の可能性(Kaplan-Meier 解析に基づく推定)は,ヘパリン+アルテプラーゼ併用群のほうが高かった(P=0.005).死亡率は両群とも低かったため(ヘパリン+アルテプラーゼ併用群は 3.4%,ヘパリン+プラセボ群は 2.2%,P=0.71),無事象生存の差は,ヘパリン+プラセボ群で治療強化の頻度がより高かったことによるものであった(24.6% 対 10.2%,P=0.004).ヘパリン+プラセボ投与には,ヘパリン+アルテプラーゼ併用投与のほぼ 3 倍の死亡または治療強化のリスクを伴っていた(P=0.006).ヘパリン+アルテプラーゼ併用投与を受けた患者では,致死的な出血や脳出血は起きなかった.

結 論

アルテプラーゼはヘパリンと併用投与した場合,やや広範囲の急性肺塞栓症で安定している患者の臨床経過を改善することができ,また,入院中における治療の強化を要する臨床症状の悪化を予防することができる.

(S. Konstantinides, A. Geibel, G. Heusel, F. Heinrich, and W. Kasper)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1143 - 50. )