The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 17, 2002 Vol. 347 No. 16

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

自動体外除細動器の公共利用
Public Use of Automated External Defibrillators

S.L. CAFFREY, P.J. WILLOUGHBY, P.E. PEPE, AND L.B. BECKER

背景

自動体外除細動器は,指定された人が特定の公共の場で使用した場合,生命を救っている.われわれは,院外心停止に居合わせた無作為の第三者が,自動体外除細動器を取り出して首尾よく使えるかどうかを評価するため,シカゴの 3 つの空港で,2 年間の前向き研究を行った.

方 法

除細動器は,年間合せて 1 億人を超える乗客が利用する,オヘア空港,ミッドウェー空港,メイグスフィールド空港の旅客ターミナル全体に,早歩きで 60~90 秒の間隔をおいて設置した.除細動器の利用促進は,待合い所の公共サービスビデオ,パンフレット,およびマスコミの報道によって行った.係員の通知から除細動までの時間,心停止患者の 72 時間および 1 年生存率,心停止患者の神経学的状態,および救助者の特徴を評価した.

結 果

2 年間に 21 例が非外傷性心停止となり,うち 18 例が心室細動をきたした.2 例を除き,除細動器を操作したのは善意の救助者で,自発的に行動した.心室細動をきたした 4 例の患者の場合,除細動器が近辺になかったか,5 分以内に使用されなかったため,全例が死亡した.他の 3 例は,除細動器の迅速な使用(5 分以内)にもかかわらず細動が持続し,結局死亡した.心室細動をきたした人のうち 11 例は蘇生が成功し,うち 8 例は入院前に意識を回復した.心停止が疑われた 4 例には電気ショックが与えられず,除細動器は,心停止が心室細動によるものではないことを正しく示した.蘇生が成功した患者 11 例中 6 例を救助した者は,自動除細動器使用に関するトレーニングを受けておらず使用経験もなかったが,救助者 3 名は医学の学位をもっていた.心室細動をきたした 18 例のうち 10 例は,1 年後も生存し,神経学的に正常であった.

結 論

シカゴの空港の利用しやすくよく目立つ公共の場所に設置されている自動体外除細動器は,心停止患者の救助に有効に利用された.生存例において,自動体外除細動器使用者の大半は,救助する義務がなく,自動体外除細動器の使用について事前のトレーニングを受けていなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1242 - 7. )