October 24, 2002 Vol. 347 No. 17
腹式子宮全摘術後と腹式子宮亜全摘術後における転帰の比較
Outcomes after Total versus Subtotal Abdominal Hysterectomy
R. THAKAR, S. AYERS, P. CLARKSON, S. STANTON, AND I. MANYONDA
腹式子宮亜全摘術が,腹式子宮全摘術に比べ,膀胱,腸または性機能に対してよりよい転帰をもたらすかどうかは不明である.
良性疾患のため子宮摘出を勧められた女性 279 例(ほとんどの女性が閉経前)を対象に,腹式子宮全摘術と腹式子宮亜全摘術を比較する無作為二重盲検試験を実施した.主要転帰は,12 ヵ月後の膀胱,腸,および性機能の指標であった.また,術後の合併症についても評価した.
頻尿(1 日に 7 回以上の排尿)の割合は,術前には子宮亜全摘術群では 33%,子宮全摘術群では 31%であったが,術後 12 ヵ月では,それぞれ 24%と 20%に減少した(各群における経時変化に対する P=0.03;治療の割付けと時間との相互作用に対する P=0.84).夜間頻尿症や緊張性尿失禁の減少および膀胱容量の改善は,両群で同程度であった.(便秘と緩下薬使用の報告で示される)腸症状の頻度および性機能(性交やオルガズムの頻度およびパートナーとの性的関係の評価を含む)は,両群ともに術後に有意な変化はみられなかった.子宮亜全摘術群の女性では,入院期間が短く(5.2 日,子宮全摘術群では 6.0 日;P=0.04),発熱の割合も低かった(6% 対 19%,P<0.001).腹式子宮亜全摘術後,7%の女性に周期的出血,2%の女性に子宮頸部脱がみられた.
腹式子宮亜全摘術も腹式子宮全摘術も,12 ヵ月後における骨盤器官の機能に悪影響を与えない.腹式子宮亜全摘術は,回復がより速やかで短期合併症も少ないが,まれに周期的出血や子宮頸部脱を引き起す.