The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 5, 2002 Vol. 347 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

パプアニューギニアにおけるフィラリア症を撲滅するための集団治療
Mass Treatment to Eliminate Filariasis in Papua New Guinea

M.J. BOCKARIE AND OTHERS

背景

バンクロフト・フィラリア症を撲滅させるための世界的な戦略は,現在のところ,年 1 回の抗フィラリア薬投与を 4~6 年間行う集団治療に頼っている.目標は,血中のミクロフィラリアの保有を減少させ,蚊の媒介による伝播が持続しないようにすることである.

方 法

パプアニューギニアの住民,約 2,500 人を対象に,ジエチルカルバマジンとイベルメクチンとの併用,またはジエチルカルバマジン単独のいずれかを単回投与する年 1 回の治療を 4 年間行い,ミクロフィラリア陽性感染の発生率,リンパ性疾患の重症度,および蚊によるバンクロフト糸状虫の伝播率に対する効果を前向きに評価した.治療計画への無作為割付けは,居住する村に基づいて行い,各村の伝播率を中等度または高度に分類した.

結 果

5 歳以上の人口集団の 77~86%が,いずれかの治療計画による 4 年にわたる年 1 回の治療を受けた.治療の忍容性は良好であった.ミクロフィラリア陽性感染の割合は 86~98%減少した.減少の程度は,伝播率が中等度の地域のほうが,伝播率が高度の地域よりも大きかった.陰嚢水腫と下肢リンパ浮腫の総頻度は,試験前はそれぞれ 15%と 5%であったが,5 年後は 5%(P<0.001)と 4%(P=0.04)であった.陰嚢水腫と下肢リンパ浮腫は,発症時にこれらの症状を有していた住民の,それぞれ 87%と 69%で消失した.蚊による伝播率は著しく減少し,小児における新たなミクロフィラリア陽性感染は,5 年の試験期間中ほぼ完全に予防された.

結 論

ジエチルカルバマジンのような薬物を用いた年 1 回の集団治療は,ミクロフィラリアの保有をほぼ排除することができ,バンクロフト・フィラリア症による臨床的なリンパ異常の頻度を大幅に減らすことができる.伝播率が中等度の地域では根絶が可能かもしれないが,伝播率が高度の地域では,より長い治療期間,あるいは付加的な管理対策が必要であるかもしれない

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1841 - 8. )