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July 25, 2002 Vol. 347 No. 4

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超低出生体重児における早発性敗血症の病原体の変化
Changes in Pathogens Causing Early-Onset Sepsis in Very-Low-Birth-Weight Infants

B.J. STOLL AND OTHERS

背景

分娩および出産中に抗菌薬がより広く使用され始めて以来,超低出生体重児における早発性敗血症(生後 72 時間以内に発症)の発症率と原因が変化したかどうかは明らかにされていない.

方 法

1998~2000 年のあいだに米国小児保健発育研究所の新生児調査ネットワークに属する施設で生まれ,生後 3 日間に少なくとも 1 回血液培養を行った超低出生体重児 5,447 例(体重 401~1,500 g)の調査を行い,1991~93 年のあいだにネットワークに属する施設で生まれた超低出生体重児 7,606 例と比較した.

結 果

早発性敗血症(血液培養陽性により確認)は,最近の出生コホートの新生児 84 例(1.5%)に存在した.過去の出生コホートと比較すると,B 群連鎖球菌性敗血症が顕著に減少し(体重 401~1,500 g の新生児の生児出生 1,000 例当り 5.9 例から 1.7 例へ減少,P<0.001),大腸菌性敗血症が増加した(生児出生 1,000 例当り 3.2 例から 6.8 例へ増加,P=0.004).早発性敗血症の全発症率は,有意に変化しなかった.最近の出生コホートから単離した大腸菌の大半(85%)はアンピシリン耐性であり,アンピシリン耐性大腸菌に感染した新生児の母親は,アンピシリン感受性株に感染した新生児の母親に比べて,分娩時にアンピシリン投与を受けた割合が高かった(感受性データがある 28 例中 26 例に対し 5 例中 1 例,P=0.01).早発性敗血症に感染した新生児は,感染していない新生児よりも死亡する割合が高く(37% 対 13%,P<0.001),この傾向はとくにグラム陰性菌に感染した場合に強かった.

結 論

超低出生体重児において,早発性敗血症は依然としてまれではあるが致死的となりうる問題である.時間の経過と共に,病原体がグラム陽性菌主体からグラム陰性菌主体に変化したことは,現在実施中の監視により確認する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 240 - 7. )