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August 1, 2002 Vol. 347 No. 5

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電子レンジ用ポップコーン工場の労働者における臨床的閉塞性細気管支炎
Clinical Bronchiolitis Obliterans in Workers at a Microwave-Popcorn Plant

K. KREISS AND OTHERS

背景

2000 年 5 月に,電子レンジ用ポップコーン製造工場で以前働いていた 8 人の労働者が,重度の閉塞性細気管支炎に罹患していることが報告された.工場では認識される原因は確認されなかった.それゆえ,われわれは現在の従業員を医学的に評価し,職業的曝露を評価した.

方 法

参加した労働者の質問票の回答と肺活量測定の所見を,年齢と喫煙状態とで補正して,第 3 回全国健康栄養調査のデータと比較した.人工バター香料で工場の空気中に含まれる主なケトンであるジアセチルへの現在および累積の曝露に応じて症状および異常の発生率を解析することにより,曝露と健康関連の転帰との関係を評価した.

結 果

現在工場で働いている 135 名のうち,117 名(87%)が質問票に回答した.全国データと比較したところ,これらの 117 名の労働者には,慢性咳嗽と息切れが予測率の 2.6 倍,医師が診断した喘息および慢性気管支炎が予測率の 2 倍認められた.全体では,労働者の気道閉塞の罹患率は予測率の 3.3 倍であり,喫煙歴のない者では予測率の 10.8 倍であった.電子レンジ用ポップコーンの製造に直接関与している労働者では,工場の他部門の労働者に比べて,仕事を始めてから発症した労作性息切れおよび皮膚の異常を有する割合が高かった.ジアセチルへの推定累積曝露量の四分位群と,気道閉塞の頻度および程度のあいだに,強力な関連が認められた.

結 論

この労働者集団における肺疾患と肺機能異常の高い罹患率,および曝露量と転帰の相関関係は,この集団が,揮発性のバター香料成分の吸入を原因とする職業性閉塞性細気管支炎に罹患した可能性を示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 330 - 8. )