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August 8, 2002 Vol. 347 No. 6

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最近 HIV に感染した患者における抗レトロウイルス薬耐性
Antiretroviral-Drug Resistance among Patients Recently Infected with HIV

S.J. LITTLE AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に新たに感染した北米在住者において,抗レトロウイルス薬に対する耐性伝達の頻度は 1~11%と推定されている.

方 法

北米 10 都市において 1995 年 5 月~2000 年 6 月に確認された,HIV 初感染者でまだ治療を受けいない被験者 377 例の血漿サンプルを対象とし,治療前の抗レトロウイルス薬に対する HIV の感受性および HIV の薬剤耐性突然変異の後ろ向き解析を行った.被験者 202 例の治療に対する反応が評価できた.

結 果

5 年間で,薬剤耐性伝達は有意に増加した.1 種類以上の薬剤に対する高レベルの耐性(被験者ウイルスに対する 50%阻害濃度[IC50]と薬剤感受性の基準ウイルスに対する IC50 の比が 10 以上)の頻度は,1995~98 年の 3.4%から 1999~2000 年の 12.4%へと増加し(P=0.002),多剤耐性の頻度は 1.1%から 6.2%に増加した(P=0.01).配列解析で検出された耐性突然変異の頻度は,8.0%から 22.7%に増加し(P<0.001),配列解析で検出された多剤耐性の頻度は 3.8%から 10.2%に増加した(P=0.05).薬剤耐性ウイルスに感染した被験者では,抗レトロウイルス療法開始からウイルス抑制までの時間がより長く(P=0.05),ウイルス学的失敗までの時間がより短かった(P=0.05).

結 論

薬剤耐性ウイルスが関与する新たな HIV 感染の割合は北米で増加している.薬剤耐性ウイルスに感染した患者では,初回の抗レトロウイルス療法が失敗しやすい.現在では,最近感染した患者に対しても,治療開始前に薬剤耐性を試験することが必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 385 - 94. )