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July 4, 2002 Vol. 347 No. 1

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不安定狭心症における広汎な冠動脈の炎症
Widespread Coronary Inflammation in Unstable Angina

A. BUFFON AND OTHERS

背景

不安定冠動脈プラーク内の炎症は,破裂やびらんを促進させることで不安定狭心症を引き起す可能性がある.不安定狭心症では,末梢血と冠静脈洞血に活性化した白血球がみられることがあるが,狭窄病変の血管床で選択的に活性化されるかどうかは明らかではない.

方 法

われわれは,心臓および大腿の循環における好中球ミエロペルオキシダーゼ含量を 5 群の患者で測定した:内訳は,左前下行冠動脈(患者 24 例)または右冠動脈(患者 9 例)に狭窄を有する不安定狭心症の 2 群;慢性安定狭心症患者 13 例;異型狭心症と反復性虚血を有する患者 13 例;対照被験者 6 例であった.血液検体は大動脈,大腿静脈および,大心臓静脈(右冠動脈からではなく左冠動脈からのみ選択的に血液を流出させる)から採取した.

結 果

大動脈血の好中球ミエロペルオキシダーゼ含量は,不安定狭心症患者群の両群では同程度であり(-3.9 と-5.5,マイナス値は好中球活性化による酵素の減少を示す),他の 3 群より有意に低かった(P<0.05).狭窄部位とは無関係に,大心臓静脈から採取した血液の好中球ミエロペルオキシダーゼ含量は,不安定狭心症群の両群で有意に減少したが(左冠動脈病変のある患者で-6.4,右冠動脈病変患者で-6.6),安定狭心症および複数の狭窄を有する患者,異型狭心症と反復性虚血を有する患者,対照被験者では減少しなかった.また,不安定狭心症群の両群ではミエロペルオキシダーゼ含量の冠動脈全体での有意な減少がみられた.

結 論

原因となる狭窄の部位にかかわらずみられる,不安定狭心症患者における冠動脈血管床全体での好中球の広汎な活性化は,不安定冠動脈症候群における単一の不安定プラークという概念に疑いをもたせる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 5 - 12. )