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March 20, 2003 Vol. 348 No. 12

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肥満の臨床スペクトルとメラノコルチン 4 受容体遺伝子の変異
Clinical Spectrum of Obesity and Mutations in the Melanocortin 4 Receptor Gene

I.S. Farooqi and Others

背景

メラノコルチン 4 受容体(MC4R)の欠損は,肥満においてもっともよくみられる単一遺伝子の形である.しかしその臨床像および遺伝様式については明らかではなく,また肥満をもたらす病態生理学的メカニズムも十分理解されておらず,遺伝子型と表現型の相関関係に関しての情報もほとんどない.

方 法

重度小児肥満の発端者 500 例において MC4R 遺伝子のヌクレオチド配列を明らかにした.家族研究を行って,肥満と同定された変異が共通して分離されるかを検討した.MC4R 欠損がある被験者は代謝・内分泌について評価を行い,その結果と変異受容体の情報伝達特性との相関を検討した.

結 果

発端者 29 例(5.8%)で MC4R に変異があった;23 例がヘテロ接合体,6 例がホモ接合体であった.変異がある発端者は重度肥満,筋肉量増加,身長発育の増加,過食症および重症の高インスリン血症を呈した;ホモ接合型はヘテロ接合型よりも重症度が高かった.変異はあるが残りの情報伝達能を維持している被験者では,表現型の重症度がより低かった.

結 論

MC4R の変異は,共優性型で遺伝する,顕著な肥満症候群を招く.機能の完全喪失を引き起す変異は,より重症の表現型に関連する.こうした変異受容体の情報伝達特性とエネルギー摂取との相関関係は,この受容体がヒトの食行動の制御に対して果す重要な役割を強調している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1085 - 95. )