January 9, 2003 Vol. 348 No. 2
米国における医師以外の臨床従事者による医療の動向
Trends in Care by Nonphysician Clinicians in the United States
B.G. Druss, S.C. Marcus, M. Olfson, T. Tanielian, and H.A. Pincus
1990 年代,医師以外の臨床従事者の養成課程の卒業者数が増加し,彼らの診療範囲を拡大する法律が可決され,医療費の抑制手段としてこれらの医療提供者の利用を強調するマネージドケア・プランが激増した.
全国の代表的標本を対象とする 2 つの調査を用いて,1987~97 年のあいだに医師および医師以外の臨床従事者によって提供された,外来患者に対する医療の動向を検討した.このさい,患者の種類に対する補正を行った.分析では,医師以外の 10 種類の臨床従事者;脊柱指圧療法士,助産婦,看護師およびナース・プラクティショナー,検眼士,足病治療士,補助医師,理学療法士および作業療法士,心理療法士,ソーシャル・ワーカー,ならびにその他の臨床従事者が提供した医療を検討した.
1987~97 年のあいだ,医師以外の臨床従事者を受診した患者の割合は,30.6%から 36.1%へ上昇した(1987 年と比較した 1997 年の補正相対リスク 1.42[95%信頼区間 1.35~1.50]).この動向は,医師と医師以外の臨床従事者の両方を受診した人の割合の増加によるものであり(23.5%から 30.9%へ増加;補正相対リスク 1.49[95%信頼区間 1.40~1.58]),医師以外の臨床従事者のみを受診した人の割合の増加によるものではなかった(7.2%から 5.3%へ減少;補正相対リスク 0.81[95%信頼区間 0.70~0.93]).この結果のパターンは,病態別の分析や,医師以外の臨床従事者の種類別での分析でも一貫していた.医師以外の臨床従事者から予防診療を受ける患者の割合は増加し,急性期診療を受ける患者の割合は減少していた.
1987~97 年に,医師と医師以外の臨床従事者のあいだで提供する診療内容に関する一定度の分化が生じたが,治療対象の患者に関する分化は生じなかった.これらの知見の意義は,両者が関わる診療の増加によって医療の統合性が増すか分裂がすすむか,その度合にかかっている.