The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 17, 2003 Vol. 348 No. 16

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

1979 年から 2000 年までの米国における敗血症の疫学
The Epidemiology of Sepsis in the United States from 1979 through 2000

G.S. Martin, D.M. Mannino, S. Eaton, and M. Moss

背景

敗血症は保健医療において大きな負荷となっているが,敗血症の人口統計学や,発生率と転帰の時間的変化に関する疫学的情報は限られている.われわれは,米国における敗血症の疫学を調査し,とくに人種・性別,原因微生物,患者の素因,および発生率と転帰について検討した.

方 法

米国のすべての非連邦急性期病院の全国的代表サンプルを用いて 1979~2000 年に発生した敗血症を解析した.新規症例に関するデータは,国際疾病分類第 9 版,臨床修正版(International Classification of Diseases, Ninth Revision, Clinical Modification)に従ってコード化された退院記録から得た.

結 果

22 年間にわたる米国での約 7 億 5,000 万件の入院に関する退院データを再調査したところ,10,319,418 件の敗血症が同定された.敗血症は,女性よりも男性に多く(平均の年間相対リスク 1.28[95%信頼区間 1.24~1.32]),白人よりも白人以外に多かった(平均の年間相対リスク 1.90[95%信頼区間 1.81~2.00]).1979~2000 年のあいだに,約 164,000 症例(人口 100,000 人当り 82.7 例)からほぼ 660,000 症例(人口 100,000 人当り 240.4 例)へと,年率 8.7%の敗血症発生率の増加があった.真菌による敗血症の割合は 207%増加し,1987 年以降はグラム陽性菌が主な病原体となった.全院内死亡率は,1979~84 年の 27.8%から,1995~2000 年の 17.9%へと減少したが,全死亡数は増加を続けていた.死亡率は黒人男性においてもっとも高かった.臓器不全は全期間を通して死亡の原因となっているが,臓器不全に陥っている臓器が 3 つ未満の患者の生存率には経時的な改善がみられた.平均の入院期間は短縮し,急性期以外の医療施設へ移るための退院率は増加した.

結 論

敗血症患者における全体の死亡率は減少しているが,敗血症の発生率と敗血症に関連した死亡数は増加している.敗血症の発生率には,人種間や男女間格差も存在する.グラム陽性細菌と真菌は,敗血症の主因として増加している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1546 - 54. )