The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 19, 2003 Vol. 348 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

前立腺癌における不顕性リンパ節転移の非侵襲的検出
Noninvasive Detection of Clinically Occult Lymph-Node Metastases in Prostate Cancer

M.G. Harisinghani and Others

背景

前立腺癌においてリンパ節転移を正確に検出することは,治療に取り組むに当ってきわめて重要な要素である.われわれは,微少なリンパ節転移を明らかにするために,間質のリンパ液輸送を介してリンパ節に到達する,リンパ親和性の非常に高い超常磁性ナノ粒子を,高解像度核磁気共鳴画像法(MRI)と共に利用できるかどうかを検討した.

方 法

外科的なリンパ節切除または生検を受けた,手術前の臨床段階が T1,T2,または T3 の前立腺癌の患者 80 例を対象とした.リンパ親和性の高い超常磁性ナノ粒子(体重 1 kg 当り鉄 2.6 mg)の静脈内投与前と投与 24 時間後に,全患者を MRI で検査した.画像化の結果を組織病理学の所見と関連付けた.

結 果

切除または生検を受けた 334 個のリンパ節のうち,患者 33 例(41%)から得た 63 個(18.9%)に,組織病理学的に転移が検出された.これら 63 個のリンパ節のうち,45 個(71.4%)は通常の画像診断における悪性の判定基準を満たしていなかった.リンパ親和性の高い超常磁性ナノ粒子を用いた MRI では,リンパ節転移のあった患者全員を正確に確認でき,リンパ節ごとの解析では,従来の MRI(90.5% 対 35.4%,P<0.001)やノモグラムよりも有意に感度が高かった.

結 論

磁性ナノ粒子を用いた高解像度 MRI により,前立腺癌患者において,微小で,これまでの方法では検出されないリンパ節転移の検出が可能になる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 2491 - 9. )