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January 30, 2003 Vol. 348 No. 5

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低リスク患者におけるオンポンプ冠動脈バイパス術とオフポンプ冠動脈バイパス術の比較
A Comparison of On-Pump and Off-Pump Coronary Bypass Surgery in Low-Risk Patients

H.M. Nathoe and Others

背景

心肺補助循環を使用しない(オフポンプ)冠動脈バイパス術の実施は,周術期の障害や費用を減らす可能性があるが,その転帰が心肺補助循環を用いた冠動脈バイパス術(オンポンプ)と同程度であるかどうかは,明らかではない.

方 法

多施設共同無作為試験で,主に 1 枝病変または 2 枝病変を有する患者を対象に,139 例をオンポンプ術に,142 例をオフポンプ術に無作為に割付けた.心疾患の転帰と費用効果を術後 1 年目に算出した.費用効果比(QOL で補正した余命延長 1 年当りの費用差)に関わる不確定要素には,ブートストラップ法を用いて対応した.

結 果

1 年目に,死亡,脳卒中,心筋梗塞,冠動脈への再介入を免れる割合はオンポンプ術患者では 90.6%であったのに対し,オフポンプ術では 88.0%であった(絶対差 2.6%;95%信頼区間 -4.6~9.8).また,患者の無作為割付け群におけるグラフト開存は,オンポンプ術後では 93%であったのに対し,オフポンプ術後では 91%であった(絶対差 2.0%;95%信頼区間-6.5~10.4).オンポンプ術は,患者 1 人当りに追加となる直接費用 1,839 ドル(14,908 ドル 対 13,069 ドル,14.1%の差)と,QOL で補正した余命の延長がオフポンプ群の 0.82年 と比べて 0.83年 と長いこと(差 0.01 年;95%信頼区間 -0.03~0.04)と関連していた.ブートストラップ推定値の 95%では,オフポンプ術のほうがオンポンプ術よりも費用効果は高かった.

結 論

低リスク患者では,オンポンプ術を受けた患者とオフポンプ術を受けた患者では,1 年目の心疾患の転帰に差はみられなかった.費用効果に関しては,オフポンプ術のほうがオンポンプ術よりも高かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 394 - 402. )