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February 6, 2003 Vol. 348 No. 6

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血管造影を受ける高リスク患者における腎毒性作用
Nephrotoxic Effects in High-Risk Patients Undergoing Angiography

P. Aspelin and Others

背景

ヨード造影剤の使用により腎症が起る可能性がある.高リスク患者において,等浸透圧造影剤は低浸透圧造影剤よりも腎毒性が低いかどうかは不明である.

方 法

前向き無作為多施設二重盲検試験を行い,等浸透圧で非イオン性ダイマー型造影剤であるイオジキサノールと低浸透圧で非イオン性モノマー型造影剤であるイオヘキソールの腎毒性作用を比較した.冠動脈または大動脈-大腿動脈血管造影を受けた,血清クレアチニン濃度が 1.5~3.5 mg/dL の糖尿病患者 129 例を試験に組み入れた.主要エンドポイントは,血管造影後 3 日間におけるクレアチニン濃度のベースラインからの最大増加量とした.その他のエンドポイントは,クレアチニン濃度の 0.5 mg/dL 以上の増加,1.0 mg/dL 以上の増加,検査当日から 7 日目までのクレアチニン濃度の変化であった.

結 果

クレアチニン濃度の増加はイオジキサノール投与患者において有意に低かった.検査当日から 3 日目までのクレアチニン濃度の最大増加量の平均は,イオジキサノール群で 0.13 mg/dL,イオヘキソール群で 0.55 mg/dL(P=0.001;イオジキサノール群の増加量からイオヘキソール群の増加量を引いた差 -0.42 mg/dL[95%信頼区間 -0.73~-0.22])であった.イオジキサノール群では 64 例中 2 例(3%)が 0.5 mg/dL 以上のクレアチニン濃度上昇を示し,これに対してイオヘキソール群では 65 例中 17 例(26%)であった(P=0.002;イオジキサノール群の 0.5 mg/dL 以上のクレアチニン濃度上昇に対するオッズ比 0.09[95%信頼区間 0.02~0.41]).1.0 mg/dL 以上の上昇は,イオジキサノールを投与された患者にはみられなかったが,イオヘキソール群では 10 例(15%)にみられた.検査当日から 7 日目までのクレアチニン濃度の平均変化量は,イオジキサノール群では 0.07 mg/dL,イオヘキソール群では 0.24 mg/dL であった(P=0.003;イオジキサノール群の値からイオヘキソール群の値を引いた差 -0.17 mg/dL [95%信頼区間 -0.34~-0.07]).

結 論

高リスク患者において,造影剤によって腎症が発症する可能性は,非イオン性低浸透圧造影剤よりもイオジキサノソールを用いたときに低いと考えられた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 491 - 9. )