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February 20, 2003 Vol. 348 No. 8

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散発性クロイツフェルト・ヤコブ病における嗅上皮での病原性プリオン蛋白質の検出
Detection of Pathologic Prion Protein in the Olfactory Epithelium in Sporadic Creutzfeldt-Jakob Disease

G. Zanusso and Others

背景

嗅覚皮質と嗅索は,散発性クロイツフェルト・ヤコブ病に関与している.われわれは嗅粘膜を含む嗅覚路の周辺領域を調べ,鼻腔の内側を覆っている上皮に,病原性伝染性異常プリオン蛋白質(PrPSc)が沈着しているかどうかを評価した.

方 法

神経病理学的に確認された散発性クロイツフェルト・ヤコブ病患者 9 例について検討した.剖検時に,脳,付属した嗅粘膜を含む篩板,および周辺の気道上皮を採取した.鼻粘膜の対照試料は,年齢をマッチさせた対照被験者および別の神経変性疾患を有する対照患者から,死後または生検時に採取した.嗅粘膜と呼吸粘膜および頭蓋内嗅覚系を,光学顕微鏡,免疫組織化学,ウェスタンブロット法で解析し,病理学的変化および PrPSc の沈着について調べた.

結 果

散発性クロイツフェルト・ヤコブ病患者 9 例では,全例の嗅繊毛および中枢性嗅覚経路に PrPSc が検出されたが,呼吸粘膜には検出されなかった.対照者 11 例の組織試料には,PrPSc はまったく検出されなかった.

結 論

われわれが行った病理学的および生化学的研究により,PrPSc が,散発性クロイツフェルト・ヤコブ病患者の嗅粘膜の感覚上皮に沈着していることが明らかになった.このことは,嗅覚器の生検により,生存中に患者の診断情報が得られる可能性を示している.また,嗅覚路は感染経路およびプリオン伝播の媒体である可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 711 - 9. )